小説・蓋を開けたら

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 レッドが帰ってきたのは、日時計の影が午後の6を指す時刻だった。空を太陽が綺麗なオレンジ色に染め上げている。

 グリーンが待ち構えているなど知りもしないレッドは、真っ直ぐ自室に向かう。


「ただいま!」


 大声で帰りを告げると同時に、笑顔でドアを開け放つ。


「おかえり」


 ベッドに腰掛けていたグリーンが、声のでかさに少々眉を寄せ不機嫌そうに返した。だが、不機嫌そうな顔は一瞬で真剣な顔に変わる。


「これについて詳しく聴かせてもらおう」


 “これ”と、右手に掲げられた紙の束を見て、レッドの顔が引きつった。どうやらそれの存在を忘れていたらしい。忘れていなければ、見つからないように仕舞いこんでいただろう。


「あー…それは…国軍についてまとめた紙の束?」

「そんなことは見れば分かる。オレが聞きたいのは、どうやってこの情報を入手したのかと言うことだ」


 グリーンは睨みつけるように、立ったままのレッドを見上げた。そのレッドはというと、せわしなく目線を彷徨わせてどうにかよい言い訳が無いかと思考している。口からは「あー」だの「うー」だの意味の無い母音が出てくるだけだ。


「言っておくが、言い訳をしようなどと考えないことだ」


 その言葉に息をのみ、意味を成さない音を出していた口をつぐむ。
 やがて大きく息を吐き、グリーンの横に腰かけた。
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