番外編・蓋を開けたら
□1章 小話・番外編
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魔法具
「気になっていたんだが、あれはなんだ?」
「どれ?」
熱がある程度下がって、難なく起き上がる事が出来るようになってきたグリーンが、あれ、と指さしたそれは、部屋の隅に置いてある鈍色。
「ああ、あれか」
雪山で暮らすオレを心配してマサキが送ってきた物で、確か新作だと言っていた気がする。
あいつは独自で作ったものを国に報告しないから、グリーンが知らないのは当然だよな。
「あれは熱系統の魔法具で、上の入れ物に水を入れておくと水蒸気が出てくるんだ。友人が乾燥するからって作ってくれたんだぜ」
「作った?名のある職人か?」
やっぱり気になるようで、身を乗り出して聞いて来る。
「個人的に作ったやつは国に報告してないって言ってたから、有名って訳じゃないと思うぜ?」
有名になるのは国が認められた人だけだから、自分から報告しない人は滅多な事が無い限り有名にはならない。
それでもマサキは、一部からはかなり有名人だ。
「報告しない…。反政府団体のやつか?」
「いや、団体には入って無かったはずだけど…。あ、でも思考は反政府よりかな、確か」
「今この国に、政府寄りの考えを持ってる奴なんてごく一部だろ」
この前までは政府寄りの考えだったグリーンは、此処に来るまでに大分変ったようだった。ま、それもしょうがないとは思うけどさ。
「とにかく、有名じゃないけど凄い奴だよ。あいつが作った魔法具、この家に結構あるんだぜ?」
元気になったら見せてやるよ、と言いうと「楽しみにしている」と返ってきた。やっぱり興味あるみたいだ。
その後、元気になったグリーンが家を見て回り、置いてあった魔法具に驚愕したのはオレの知らない話し。