小説・蓋を開けたら
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2人で逃げていたときと比べて断然人のいない廊下を、身を隠しながら慎重に走って行く。
シン…、と静まり返った廊下に足音が響いた。
ここに人がいないということは、レッドのところに向かっているという事だ。それはシルバーの危険にも繋がっている。
「(無事よね、シルバー…)」
レッドは確かに強いだろう。なにせ、訓練を受けているシルバーの攻撃が掠りもしなかったのだから。それでも、この軍部にいる軍人ほぼ全員が相手となると勝ち目があるとは思えない。
「おい「いたぞ!脱走者だ!」
グリーンが何かを言おうとした丁度そのとき、後ろから怒鳴るような声が全身に叩きつけられた。それほどまでに大きな声。
「隣の奴は侵入者か!?」
「他にもいたのか!至急応援を呼べ!」
「っまずいわよ!」
ただでさえ声が大きくて、軍部内の見張りが集まってきているだろうに。
さして広くないこの廊下で戦闘をするのは難しい。これ以上呼ばれては逃げるのが難しくなってしまう。
どうにかしないと。そう思って考えを巡らせていると、アタシと軍人たち間に緑の光を放つ魔法陣が浮かび上がった。