小説・蓋を開けたら

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 まどろみながら、ふかふかとした感触に顔をうずめ寝返りをうった。


「!!?」


 視界いっぱい入ってきた義姉の寝顔に呼吸と動きが急停止して顔の熱が上昇した。それに比例して心音が上がり、同時にその理由が瞬時に思い出された。


「(そうだ、昨日は…)」


 部屋に通されたあと、さすがに2人で寝るのはと思い自分が床で寝ると言ったのだが、義姉に泣き落とされて結局一緒に寝る事になったのだ。
 理由を思い出したとしても熱くなった顔が冷める訳でもない。
 逆側を向けば、サイドテーブルに置かれている日時計が目に入った。影は朝の8時と9時の間を指している。シルバーは隣で穏やかな寝息をたてるブルーを起こさないように、ゆっくりとベッドから抜け出した。


「(ねえさんより早く起きるのは久しぶりだ)」


 寝起きが良いのはシルバーだが、通常ならばブルーのほうが起きるのは早い。
 やはり疲れていたのだろうと思いながら、着ている服に手をかけた。
 あれだけ動いたというのに同じ服を着るのは気分が悪いが、人から借りた寝巻を着続ける訳にもいかない。貸してくれた本人は気にしなさそうだが、こちらは気にする。というより、さすがにでかいのだ。襟元はずれ落ち片方の肩が覗いているし、ズボンは紐のおかげで落ちないでいるが、それでもぎりぎり腰骨だ。袖や裾は言うまでもない。
 年齢による体格の差なので仕方ないが、改めて自身の姿を見降ろし、なんとなく悲しい気持ちになる。早々に着替えてしまおうと昨日の服を拾い上げた。
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