小説・蓋を開けたら

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 ドアから風と共に粉雪が室内に入り込む。おかげでとても寒いのだが、どうやらそんな寒さも気にならないくらいに、目の前の2人は動揺しているらしい。
 気持ちは分からなくもないが、とにかく落ち着いてもらわなければ話しが進まない。


「買い物に行くんだろう、早く行くぞ」

「ちょ、待ちなさいよ!シロガネ山ですって?!そんなバカなこと、あるわけ無いでしょう?!」


 ブルーが力の限りグリーンに叫ぶ。
 その声にまた眉を寄せ、少々不機嫌そうな顔をしつつも返答を返した。返したと言っても、とても簡潔な答えだが。


「お前がどう言おうと、此処はシロガネ山だ」

「でも…!!」


 尚も続けようとするブルーにうるさい、と告げ、3人分の上着を持って2人の腕を引き外に連れ出した。


「ちょっと!どこに行くのよ!?」

「黙ってろ」


 シルバーが人を殺せるのではないかという程の眼力でもってグリーンを睨みつけ、ブルーが抵抗をみせるが、無言を貫き通し2人を引きずって行く。
 正直、グリーンはブルーたちが混乱する気持ちも分からないでもないのだ。
 彼自身、此処に来た当初は途中までとはいえ自分の足で来たというのに、此処がシロガネ山だという実感はほとんど無いに等しかった。自分でもそうなのだから、移動魔法で此処に来てしまった2人が混乱するのは道理であり当たり前だ。
 だからうるさいとは思っても、おざなりな対応をすることはしない。とはいえ、口で説明しても理解させるのは難しい。今のグリーンの対応は乱暴であるが、それはひとえに一番分かりやすい答えを見せるためである。
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