小説・蓋を開けたら

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 グリーン、ブルー、シルバーの3人と一緒に暮らすようになってから1年経とうとしている。
 あの時の黒服たちは“ロケット団”と名乗り未だに活動を続けているが、目的は一貫して攫われた子供たちの保護であったり、捕まった反政府側の人物の救出であったりと目的がはっきりしている。
 行動から反政府側の敵ではなく過激派に支持されており、どこかの団体が手を組まないかと交渉を持ちかけたという情報も入っている。ただ、行動が派手で、民間人への被害を顧みないことから、穏健派からはよい目で見られていない。そして、これは推測であるが、ロケット団を構成しているメンバーは何らかの形で家族を筆頭とした大切な人を、軍に奪われた人間ではないかとされている。
 そういった情報をまとめた結果、レッド達はロケット団を放っておくことに決めた。自分たちの中立と言う立場を崩しかねない行動に出る必要はないと判断したためだ。過激的なやり方には賛同できないが、この立場を崩すつもりは今のところない。
 そしてレッドと接触した人物であるが、なんとそのロケット団のボスであった。彼等の行動からして、シルバーの肉親である可能性が高いのだが、何分そう言った情報が全く入手できない。そのせいで判断が出来ずに、何も言わないままずるずると引き延ばしになってしまっている。


「(でも、行き成り“ロケット団のボスがお前の肉親かもしれない”なんて言ってもな〜…)」


 レッドは、茶色のロングヘアーをふわりと揺らしながら歩く少女、ブルーを盗み見る。
 今のシルバーにとってブルーが姉だ。血のつながりは無いが、それでも“家族”であるに変わりは無い。

 ぐるぐると考え過ぎて頭が痛くなってきたレッドは思わず呻いていた。


「どうしたのよ、何か問題でもあった?」


 それに気付き、すかさず話しをかけてくるブルーに首を振る。


「何でも無い。オレよりブルーだろ?緊張してるんじゃないのか?」

「うっ…まあ、そうだけど、」


 「見るだけだし」とぶつぶつ呟き始めたブルーの顔は、どこか不安そうで泣きそうでそれでも嬉しそうで、不安定だ。ピカが“心配するな”とでも言うようにブルーに頬ずりをした。
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