小説・蓋を開けたら
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マサラに入り、ピカがぴくりと耳を動かしブルーの腕からするりと下りた。「ピカ」と一声鳴いて近くの林へと走って行く。
これはマサラに来るといつもの行動なので、レッドは特に慌てない。
「あんまり遠くに行くなよー!」
念のため声を掛け、レッドは足を進める。田舎故、賑わいと言うものは無いが、ほのぼのとした気持ちになれるマサラの空気に影響されてか、自然とのんびりした足取りになる。
そんなレッドの後ろに隠れながら、ブルーはきょろきょろとあたりを見回していた。
「…ブルー?」
「分かってるわよ!…でも、実際会っちゃったらって思うと…」
レッドはその気持ちを理解することは出来ないが、なんとなく予想することは出来た。でも今の方が目立つ気がするのだが。
「えーと、とりあえず博士のところ行こうぜ。家とかの場所も博士に聞いた方がいいだろ?」
「そ、そうね、そうよね」
ブルーは緊張してか、隠れるだけでなく思い切り腕を掴み始めた。彼女の綺麗に整った爪が喰い込み、正直痛い。だが、レッドの腕を痛めつけている本人はそれどころではないらしく、喰い込んでいる事すら気付いていないようだ。結局レッドは困ったように眉を寄せるに止めたのだった。