小説・蓋を開けたら
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「ふぁあ〜…」
肌寒い秋の空気の中、大きな木の下で伸びをしている少女。綺麗な金の髪を高いところで1つに結っている、所謂ポニーテールにしている少女は、名はイエローと言うのだが、どうやら昼寝から目を覚ましたばかりらしい。その横では耳のあたりに花を飾っている、どうやら♀らしいピカチュウが丸くなっている。
「……あれ?ここどこだっけ?」
こてん、と、頭を傾げ不思議そうに呟いたイエロー。頭の動きに会わせてポニーテールがするりと揺れる。
呟いてから思い出すように空を見上げるが、直ぐにこくりこくりと船を漕ぎ始めてしまった。そんなイエローに入れ替わるようにして目を覚ました♀のピカチュウが、きょろきょろと辺りを見回し、隣で寝ているイエローを揺らした。
「ん…、チュチュ?どうしたの?」
何度か揺らして、ようやく目を開けたイエローにチュチュが身体全体と鳴き声で、何かを教えようとする。何度か瞬きをしてようやく起きたらしいイエローは、慌ただしく動くチュチュの額に手の平を翳す。
とたん、大きな声を上げた。
「あーーーー!!」
今度はイエローが慌ただしく飛び起きた。
「ど、どうしよう!すっかり忘れてたよ!」
わたわたと駆け出そうとするイエローに、チュチュが近くに会った釣り竿と麦わら帽子を渡す。それに短くお礼を言いながら、麦わら帽子に長い髪を入れる。入れ終わると同時に、イエローは駆けだした。