小説・蓋を開けたら
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割り込んだ黄色、ピカ。そう、レッドのピカチュウだ。ピカは威嚇するようにバチバチと電気袋から放電する。イエローとチュチュの慌てた声が聞こえてもその態度は変わらない。
「…このピカチュウも君のかな?」
「い、いえ…。この子はトキワの森にたまに遊びに来る子なんですけど…何でここに?それに、どうしたの、ピカ?この人は悪い人じゃないよ?」
イエローとチュチュが説得するも、ピカの放電は止まらない。それどころか、ピカと話していたチュチュまでも慌ててイエローの服を引っ張ってきた。流石に不思議に思ったイエローが、チュチュにしたのと同じようにピカの額に手を翳す。
とたんに流れ込む、ピカの“声”と、記憶。
―違う!こいつじゃないじゃない!―
博士からの連絡を取るのは自分より歳上らしい2人の少年と1人の少女、そして自分と同じくらいの歳の少年が1人。
『女の子!?やった!いいわよね、レッド!』
『ああ!』
『…オイ、少しは考えろ』
『戦えないのに、危険じゃないのか?』
『そんなの大丈夫よ!なんならアタシが鍛えるわ!それに、此処には規格外が2人もいるのよ?問題ないわ』
『って、事だから、こっちは問題ないよ博士!』
『おお!そうか、それなら1週間後にマサラに来とくれ。詳しい話しはそのときにしよう。それと♀のピカチュウも一緒じゃよ』
『ホント!?楽しみだな、ピカ!』
『ピカ!』
歳上らしい少年はため息を吐き、同い年らしい少年は、少女を見ながら少し嬉しそうに唇を緩め、そして、もう1人の少年はピカに笑顔を向けた。