小説・蓋を開けたら
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「ええ!パパとママがいない!?」
オーキド邸に、ブルーの驚愕の声が響き渡った。
「ああ、そうなんじゃよ。お前さんの情報を求めて、各地を転々としておるんじゃ」
「アタシの情報を…」
「お前さんが来ると知っとったら、2人を呼び戻したんじゃが…」
「ううん、パパとママがアタシのことを思っていてくれている…。今はそれだけ分かれば、十分よ」
ブルーの顔からは、その言葉が強がりではなく心からの言葉だと知れた。そのことにレッドとオーキドはほっと息を吐く。
「なんじゃったら、今度2人が帰ってきたときに話しておこうか?」
「いいえ、ダメよ!」
慌てて言うブルーに2人は驚いた。両親が未だに娘を心配しているのだから、普通ならば安心させたいと思うはずだ。だが、ブルーは言うなと言う。
「もし、アタシのことを2人に言ったとしたら、もう捜すのは止めるでしょう?そうしたら、軍人に怪しまれるかもしれないわ!」
振り絞るように言われたブルーの意見はもっともなことだった。確かに、それがばれたらブルーの両親は危険だろう。1年が経ち、積極的に捜索をしていないとはいえ、グリーンを尋ねマサラに来ている軍人がいるのだから、ついでに捜されている可能性も否めない。
だからと言って、何時会えるかもわからず、生死さえ不明の娘を捜し続けるというのは途方もなく、苦しいことだ。