小説・蓋を開けたら
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イエローのその安心した様子を見た男たちが、リーダー格の合図を受け一斉に襲い掛かってきた。
「大人を嘗めんなよガキどもがぁああ!!」
先陣を切ったのは、例の棍棒を持った男だった。いとも簡単に打ち消されたことが相当気に食わなかったのか、仕事を邪魔されたのが気に食わなかったのか、はたまたその両方か。その顔は怒りに歪んでいる。
大きく振りかぶった棍棒をレッドに向かって真上から振り下ろすが、レッドは難なくそれを横に避けた。避けたことにより棍棒が勢いよく地面に叩きつけられ、男はニヤリと唇を歪める。
それを訝しむ間もなく、叩きつけられた地面に魔法陣が浮かび、先ほどとは比べ物にならない土の波が、後ろにいる少女らに襲い掛かった。
「何してやがる馬鹿が!」
怒声を上げたのはリーダー格の青年だ。このままでは自分たちが生け捕りにしなければならない少女まで、この、明らかに殺す為に発動させた土の波に飲み込まれてしまう。
焦って発動された魔法に干渉しようとするが、渾身の力を込めて放たれた魔法だ、そう易々と干渉などできはしない。
「ハハハハハ!死にやがれぇ!!」
リーダーの怒声すら聞こえていないらしく、男が豪華に笑うが、その楽しそうな顔は直ぐ驚愕に彩られた。