小説・蓋を開けたら
□8
2ページ/4ページ
消えた3人の行く先は、言うまでもなくシロガネ山のレッド邸だ。
一瞬の強烈な光の後、3人の姿が象られ色彩を纏う。この現象について行けていないイエローが目を白黒させて混乱している中、レッド帰宅の挨拶をする。ブルーも慣れたもので、レッドのあいさつに続いた。
その声を聞き、奥から留守番組が顔を出す。
「移動魔法で来たのか?」
「ああ、イエローが目付けられちゃったみたいでさ」
「明日の朝ってなるとちょっと危ないでしょ?」
「なるほどな」
奥から現れた2人に、イエローは困惑気味だ。おろおろと視線を彷徨わせ、最終的にレッドに視線を投げた。
それに気付いたレッドが、2人を紹介する。
「こっちがグリーンで、こっちはシルバー。シルバーは確かイエローより1つ年下だったか?」
「ええ、そうよ」
「(…年上?)」
自分より年上であることが信じがたいのか、シルバーがイエローをガン見する。イエローは何故見られているのか分からずクエスチョンマークを飛ばしながら、とりあえず、と自己紹介をした。
「え、と、イエローです、この子はチュチュっていいます!これからよろしくお願いします!」
「チュゥ!」
勢いよく頭を下げるイエローを真似るように、チュチュもぺこりとお辞儀をする。
「グリーンだ」
「…シルバー」
それに続き、2人も自分で名を告げた。
とたん、レッドの腹が空腹を訴える音をたてた。全員が振り返れば、レッドが情けない顔で腹を押さえている。
「なあなあ、腹減ったんだけど、なんか残ってない?」
言った瞬間、再びレッドの腹が鳴る。
全員が脱力したように肩を落とした。