小説・蓋を開けたら
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辺りも既に暗闇に飲み込まれ、月明かりが頼りなさげに見えるほどの時刻になってしまったため、シロガネ山へはレッドの移動魔法で帰ることになった。
「本当なら泊っていってもらいたいくらいなんじゃが…」
「朝になって軍人に来られたら困るもの、しかたないわ」
帰り支度済ませた3人(イエローは引っ越し仕度)は、リビングに集まっている。少々残念そうなオーキドではあるが、理由が理由であるため引き止めることはしない。
そんなオーキドを見て、レッドが思い出したように言った。
「博士、グリーンになにか伝言はあるか?」
そう問われ、しばし間を開けてオーキドは首を横に振った。
「いや、元気にしとるならそれでかまわんよ」
「そっか」
そう笑顔で言うと「ナナミさんにもよろしく」と言い、移動魔法を発動させる。
地面に現れた紋章が消えると共に、3人の姿は無くなった。