小説・蓋を開けたら

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 林、いや森と言っても過言ではないその場所で、特徴的な前髪をしている少年が大樹の上で寝転がっている。
 この場所にはいざというときの避難場所の1つとされる洞窟があるため、何かあった時のため、あまり近寄らないようにと言われている。だが少年は、そんなもの知ったことかとちょくちょく遊びに来ては、このように、妙に寝心地の良い大樹の上で昼寝に勤しんでいる。少年にとって、日当たり良好で滅多に人が来ないために静かなここは絶好の昼寝スポットだった。まあ、昼寝に来るついでにちょこちょこと細工を施しているので、大目に見られているとも言うが。
 いつもなら気のすむまで眠っているのだが、少年は不意に目を開け起き上がると、遠くを見るために目を細めた。


「誰だぁ、あいつら?」


 村の奴らじゃねぇな、とこちらに向かってくる者達に向かって独りごちた。
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