小説・蓋を開けたら2

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「オレの…仲間、が倒してるのを見た事がある」

「じゃ、どーやっ、て倒し、たんだよ」


 自分がまだこの状態なのに、銀の呼吸が元に戻ってきていると、内心で面白くないと思いながら、酸素を取り込み二酸化炭素を吐きだすという普段から行っている行動をこれでもかと必死に行う。


「魔法だ。…強力な、魔法攻撃」

「強、力ぅ〜?!」


 ゴールドが見た銀の魔法も、決して弱くはなかった、寧ろ強いだろう。魔法発動の速度も申し分ない。それ以上に強く、となると相当な強さだ。
 銀は魔僕から視線を逸らすことなくゴールドに問いかけた。


「お前は魔法使いか?」

「ああ?!そうに、決まってんだろ!テメェに叩き付けた電撃忘れたのか?!」


 凶悪顔で睨みを利かせるゴールドだが、何気なく右腕を庇っている銀に気付きハッとする。


「お前、右腕治ってねぇのか?」

「…放ったやつ並にしつこくてな」

「んだと、テメェ」


 悪態を吐こうとするが、自分が付けた銀の右腕の怪我がまだ治っていないと分かれば、この状況も相まって罪悪感が渦を巻く。結局、文句らしい文句は言わずに、続きを促した。
 逆に、銀はそんな調子のゴールドに眉を寄せた。出会い頭や先ほどまでの態度が態度だったため、逆に気味が悪い。だが、時間がない今、こちらが文句を言うわけにはいかない。


「…補助魔法具の力を借りているにしても、魔法使いである事には変わりない。オレの魔法と同じタイミングで“アレ”に叩き付けっ!?」

「どうした?」


 不自然に止まった言葉を不思議に思い、銀の視線を辿れば、そこにいるはずの魔僕がいなかった。


「っな?!どこに、うわっ!?」

「っく…!」


 突如大きく木が揺れた。幹にしがみ付き落下を免れた2人が改めて下を見れば、魔僕が木に頭突きをしてた。


「あんにゃろ、登れないと分かって頭突きかましてきやがった!」

「この揺れじゃ、同時に同じ場所を狙うのは…!」


 それなら、と行動に移したのはゴールドだ。
 黄色く発光するキューを魔僕に向け、電撃砲を一発放つと同時に飛び降りる。


「こっちだ銀!」


 魔僕が怯んだ隙に飛び降りたゴールドを追い、銀も飛び降りる。その魔僕にとって、2人は美味い餌なのだろう、当然のように2人を追いかけていった。
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