小説・蓋を開けたら2
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「大丈夫か?」
小走りで寄って来て安否を問うレッドに、シルバーがゴールドを1度見て場所を譲り。意図を察したレッドが、ゴールドのその左腕を診て難しい顔をした。
「深いな…」
「あ、あの!…治ります、よね?」
不安げな面持ちで慎重に問う少女に笑いかけ、「うん」と首肯を1つ。少女と小さい女の子が、ぱぁっ、と明るい顔になる。
「触らないように」とだけ注意して、痛みがぶり返して立つ事すら困難らしいゴールドを、シルバーにしたように、ひょいと担ぎ上げた。
「うぉっ!?」
「あ、暴れるなよ!落とす落とす!!」
急なことに戸惑ったのかゴールドが暴れたようで、レッドの慌てた声を出す。その体制に思うところがあるシルバーは、「元気だなー」なんて暢気に呟くレッドを何とも言えない感情で視界に収めた。
「さてと、」
ようやく落ち着いたゴールドを抱えなおして、レッドは少女らに向き直った。
「海岸ってどっちだ?」
周囲に呆れと戸惑いの空気が流れたのは言うまでも無い。
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