番外編・蓋を開けたら

□3章 小話・番外編
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ブルーとシルバーの初仕事


 今日、ブルーとシルバーは初めて2人だけで何でも屋もどきの仕事を請け負うことになった。
 2人は軍に軟禁されていた時期が長いので、世間に疎い。それは本人達も自覚しており、どこかに行く時は大抵グリーンに言告げていた。レッドはシロガネ山に引きこもっているので、常識にずれがあるため、こういった面ではグリーンが頼られることが多いのだ。
 仕事もそうで、今まではレッドかグリーンが一緒だった。仕事はレッドの方が長いので、レッドと一緒の方が多かった。だが、もう大丈夫だと判断したのだろう。もともと頭も要領もよい2人だったので、少し遅いくらいかもしれない。
 そうは言っても、簡単な仕事だが。

 どさどさと何かが上から落ちる音が続き、下に居るブルーが水魔法で落ちてきた何かを溶かす。
 今2人がやっているのは雪かきだ。
 冬になり、寒くなれば雪が降る。若人の手があればいいが、それがない老人は降り積もる雪に頭を悩ませる。雪が凍ってしまえば危険であるが、屋根の上から玄関口まで全ての雪を除去するのは大変な重労働だ。
 何でも屋もどきの依頼の中でも冬ではメジャーな依頼らしく、他の2人と何度か雪かきの仕事を請け負った事があった。
 ブルーは、屋根の上から雪を落としているシルバーに声をかけた。


「シルバー!どう?終わりそうかしら?」

「もう少し!」


 その返事を得て「よし!」と気合を入れなおす。
 通常、魔法は魔法陣を消せば消えてしまうので、雪を溶かした水はその場に残ることは無い。翌日地面が凍っている心配がないので安心だ。
 2人が脱出の際使った魔法で出したものがその場に残っていたのは、ブルーの魔法で出した水にシルバーの魔法が干渉したための相乗効果だ。グリーンが出した植物の壁が残ったのは、ただ単純にグリーンの力が強いからだ。魔法具を使っている訳でもなく、魔法陣を消してもそれが残るのは使用者の力が強い証拠だ。
 何度かに分け雪が上から落ちてきたのち、上にいるシルバーから終わったことを告げる声が上げられた。


「ありがとうねぇ、助かったわ」


 朗らかな顔でお礼を言いながら仕事の報酬を渡してくるおばあさんに、ブルーは笑顔を返し、シルバーは少し顔を赤くして視線を外した。
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