第5章番外編1 シロガネ山帰宅直後


「さてレッド、弁明はあるか?」


 家に転移してそうそう、仁王立ちするグリーンに、レッドは曖昧に笑うばかりだ。

 来られている理由は明快。
 あれほど言われていたにも関わらず、ゴールドが指名手配されているという、情報の共有を怠ったから。
 もちろん、教える事が出来ない情報も中にはある。そのことはグリーンとて理解しているので、歯がゆく思えど此処まで責めることはない。
 だが、これは共有しても問題ない、寧ろするべき情報だったはずだ。


「いや、だからすっかり忘れてたんだって…」


 忘れていた以外に言いようがないレッドとしては、弁明も何もなく。本人も悪いと思ってはいるため、声がだんだんと小さくなる。

 情報共有の重要さはきちんと理解しているが、長いこと共有する相手がいなかったレッドだ。分かった情報を伝える癖がついていない。
 そのこともグリーンはしっかりと理解している。
 だからこそ、ここまでキツク言っているのだが、この幼馴染は分かっているのか…。


「(分かってないな、確実に)」


 思わず溜め息が漏れた。
 後ろで、事情を知らぬゴールドとクリスタルが戸惑っているのを感じ、また、これ以上言っても仕方がないと判断し一先ずは怒りをおさめる。


「…とにかく、お前は情報の共有を徹底しろ」

「わ、分かった…」


 気まずげに頭を掻くレッドを一瞥し、また溜め息が漏れた。
 どうやら、道のりは長いようだ。





※拍手コメで「返信いらないよー」という方は、文頭に※印をお願いします。






[TOPへ]
[カスタマイズ]

©フォレストページ