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□三話
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※セルジュがまだ支援兵の頃
「No.42、君は支援兵なんだな」
「はい。僕は体が弱いので…これくらいしか…。」
No.7、クルト・アーヴィンクはこのひ弱そうな兵士にある1つの可能性を見いだしていた。
それはここ数回の戦場での彼を見ていて気付いたもので、クルト自身も驚かされる事であった。
「ん、今の支援兵というポジションも君には合っている、もちろん体が弱いからというわけではない。」
「どういうことですか…ゴホッ、ゴホッ」
話している最中に顔色悪く咳き込んだNo.42。
やはり何かの病か…。
「大丈夫か?」
クルトがそう言って気遣うと、苦しそうに咳き込みながらも睨み付けられたような気がした。
同情だと思われたのかも知れない。
しかし咳き込む彼を見ていると、今から言おうとしていたことを言うのが躊躇われる。
(俺の選択は本当に合っているのだろうか…)
これを言ったら彼がどんな反応をするかわからない。しかし少数精鋭の422部隊の隊長として、No.42の持つ能力を持て余す訳にはいかなかった。
クルトは聞いてくれ、と前置きをして話始めた。
「最近422部隊の開発部で新たなポジションが生まれたのは知っていると思う。俺はその新しいポジション、『狙撃兵』を君に任命する」
「──!!?なんで……ですか」
俺のいきなりの発表に驚いたのか目を見開いたまま固まるNo.42。信じられないという顔をしている。
「理由はちゃんとある。ここ数回の君の出撃を見て感じたことだ。君は射撃が抜きん出て上手い、集中力もある」
しかし、No.42は俯いて何かに耐えるように唇を噛み締め震えていた。やはり支援兵のままが良かったのだろうか。
すると彼がぼそっとしゃべった。
「No.42…セルジュ・リーベルト」
「え?」
「僕の名前…隊長に教えます」
「…ありがとうセルジュ。俺はクルト・アーヴィングだ、知っているとは思うが。」
これは…信頼されたと思っていいのか?
「狙撃兵…やらせてください」
「…あぁ。期待している」
どうやら嫌で震えていた訳ではなかったようだ、それにホッとする。逆に彼の士気は見るからに上がっていた。どうやら選択は間違ってはいなかったらしい。
いや…しかしそれは結果を見てから決めなければ…次の戦場での彼に期待しよう。
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