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□Halloween!!
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*勝呂キャラブレイク
*筆者はハロウィンに詳しくないので、悪しからず!


10月の終わりの日。
普段は無機質な灰色がほとんどを占めている街も学園も、今日は原色の色とりどりな風景へと様変わりしていた。

「えー皆さんも知っての通り、今日はハロウィンですね。ではハロウィンとは何をする日か、わかりますか」

ここは祓魔塾の燐達の教室。
授業が始まり開口一番に雪男から飛んだその質問。
その問には至って常識人である子猫丸が、これまた一般的な回答を答えた。

「みんなで仮装したりする日、ですよね?あとお菓子を配ったり貰ったりする…日本じゃあまり見ませんけど」
「トリックオアトリートっちゅうやつやな」
「ようカボチャの出没する日ですよねぇ」

勝呂と志摩も重ねて回答する。

「そうです。一般的に広く知られているハロウィンのイベントとは大まかに言えばその通りですね。しかしこれは本来のハロウィンとは違います」
「そうなのか?」
「ええ。本来ハロウィンとは日本で言うお盆と、それから収穫祭が合わさった様なイベントでした。この日には悪霊も訪れるとして、魔よけにかぼちゃを置くという慣わしなんです。本当はかぼちゃではなくカブなのですが、そこは歴史と共に変化していきました」
「へぇ…カブとカボチャ…どっちも料理すりゃ美味いから捨て辛いな」

腕を組みふむふむと考え込む燐。
それを見て勝呂が突っ込んだ。

「なに真剣に考えこんどるんや奥村。その真剣さ普段の授業に向けたらええねん」

「わぁ〜カブもカボチャも美味しそうだね〜。今度燐に作ってもらおうかな?」

そこへワクワクしたしえみの声も重なり教室はやや騒がしくなる。

「おう!任せとけよ!なんならハロウィンの日にでも俺んとこ来てくれればご馳走s」

燐の声をパンパンと手を打つ音が遮った。
音源はもちろん雪男で、場を収拾するために手を叩いて注目を集めた。

「はいはい、私語は慎むように。特に兄さん」
「なんで俺だけなんだよ!」
「…アホね」
「なんだと!」


まぁそんなこんなでHRの時間は過ぎて行った。


*********

塾の授業も終わり、ただいま放課後。
祓魔塾のいつもの生徒達+雪男は、ハロウィンならこれもしないとな!ということで仮装パーティーを開いていた。
授業で習った先人を祭る云々の話より、盛り上がるイベントの方がまだ学生である祓魔塾の生徒達には大事だ。

テーブルには燐の作ったパンプキンケーキやカボチャのお菓子が所狭しと並んでいる。
皆が衣装決めや着替えをしている短い時間で作れたのは、メフィストの力も大きかったりする。
行事やパーティーは積極的に行って下さいとのことだった。
まぁもちろん、条件として燐のお菓子や何個か要求されたがそれくらいはお安い御用ってやつだった。
そうして作った料理を皆の集まる教室の机へと並べたとこまでは良かった。
良かったのだが…

「なぁ…俺の衣装は?」
「は?いらんやろお前」
「そうやで奥村くん。仮装する必要なんてこれっぽちもあらへん。ありのままの自分が一番やで」
「僕としえみさんはちゃんと用意した方がええんとちゃいますかって言うたんですけど…」
「ごめんね…燐。でも何故か注文してたはずなのに燐のだけ届いてなかったの 」
「あんた元から悪魔なんだから、今更仮装する必要も無いでしょ、良かったわね」
「良かねぇよ!!」
「まぁまぁ兄さん。無いものは仕方ないし、とりあえず始めようよ」
「ぐぬぬ…」

こうして衣装の無い燐はさて置かれ、楽しいハロウィンパーティーが開催されたのだった。

最初は拗ねていた燐だが、然程もしない内に皆と混じってわいわいやり始めた。
誰が持ち込んだのか、ただの炭酸ジュースのはずなのに子猫丸がへべれけに酔っている。
ものすごい毒舌を吐きながら志摩に部屋を片付けろと説教している。
その迫力に志摩もタジタジの様子だ。宥めるように落ち着けと繰り返す度に子猫丸が、僕はとても冷静ですよ。だいたいこの間なんか志摩くんは…と更に愚痴が広がって、哀れ志摩はその内青ざめが白ざめになること間違いなしだ。
何故かって、隣で出雲がとてつもなく冷たい瞳で、あんた、そんなことやってたんだ。ふーん、サイテー、と罵っていたからだ。
前門の虎、後門の狼というやつである。

場所少しズレて、テーブルの前。
こちらは燐、勝呂、しえみ、雪男がテーブルを四人で囲むようにして、手作りのパンプキン料理を立食していた。

「アホか!それは俺が先に取ったやつやろ!!よこせ!」
「やだね〜だってこれは俺が作ったんだから、俺にゼンケン、があるんだもんね〜はははー」
「もう頭に来たで!!こうなったら勝負や!!覚悟しぃや!!」
「望むところだぜ!」
「「最初はグー!!」」



「だあああああああ」


「兄さんと勝呂君は騒がしいな…まったく、仲が良いんだか悪いんだか…」
「でも息ピッタリ。きっと仲良しだよ。いいなぁ、男の子って」
「そうですか?僕には理解できませんけど」
「うーん、なんていうのかなぁ。でもすごく楽しそうで羨ましい」
「…しえみさんは、その…もしかして楽しくないんですか。すみません、気付かずに…」
「え!?ち、違うの!そ、そうじゃなくて…あうう…なんて言えばいいんだろう。でもでも!私はそういうの、見てるだけで楽しいし…だから今も楽しいよ?ありがと雪ちゃん」
「いえ、しえみさんがこの塾に通う原因は僕にもありますから。出来る限りサポートさせてください」
「原因だなんてちっとも思ってないよ!この学園に来て私はいっぱい変われたし、雪ちゃんにも燐にも、他のみんなにも、すごくいっぱい感謝してるんだから」
「ふふ、そうですか。なら良かったです」
「うん!」

しえみと雪男は二人して顔を見合わせるとクスっと笑った。
穏やかで暖かい時間がながrーーーガキーン!!キャーン!!

「うおおおおおこれで終わりじゃああああ」
「させるかあああ!!唸れ俺のエクスカリバああああ!!!」
「甘いわ!!そんな攻撃でこの俺の村正EXを突破出来ると思うたんか!!このパンプキンパイよりも甘いドあほうやで」
「うっせバーカ!お前こそフォークじゃなくてその頭のてっぺんについてるトサカ使えよ!!」
「トサカちゃうわ!!あとこれは只のフォークちゃうねん。俺の念が入った村正EX〜賢者の箱舟〜や!!」
「なんか名前増えてねぇか!?」
「当たり前やろ。剣は進化すんねん、ジャプンの十護とかもそうやろが。何段階進化すんねんって思ったやろ!村正EXも卍回できんねんそのうち」
「誰だよ十護!?バンカイ!?」

「………あんなのが羨ましいの?しえみさん」
「うん!楽しそうだなぁ〜いいなぁ〜」
「……」


こうして楽しい?放課後のハロウィンパーティは過ぎて行った。


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