ひとつめ
□泣かないで
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気がつくと、薄暗い所にいた。
なんだか頭が痛くて、ボーっとしながら辺りを見渡すと委員長が立っていた。
うつむいたままの委員長に近づこうとするけど、なぜだかちっとも近くに行けない。
(さんがくぅ)
委員長が泣いていた。
どうして委員長が泣いてるんだろう。
俺、またなんかやっちゃったのかな。
ごめん、ごめんね。
もう遅刻なんてしないよ。
授業もちゃんとうけるし、宿題だってする。
だからもう泣かないで、委員長のそんな顔、俺見たくないよ。
いつもみたいに怒った顔みせて
照れたような顔してよ、笑顔だってみたいんだ。嬉しい時以外の泣き顔なんて見たくない。
ねぇ委員長、どうして泣いてるの?
(山岳、さんがくぅ!)
委員長が呼んでる、返事をしなきゃ
返事をしたいのに上手く声が出せない。
目の前が白くなった。
「い…いいんちょ?」
「山岳!大丈夫なの!?」
目が覚めると病室にいた
身体中が痛いこととか、どうしてここにいるのかとか、ききたいことは沢山あったけど
「いいんちょ、泣かないでよ」
一番最初に出てきたのはこの言葉だった。
「ばかっ、心配したんだからね!」
怒って、泣いて、それでも良かったって言ってくれた委員長の顔は嬉しそうだった。
その顔につられてへらって顔で笑ったら、また委員長に怒られた。
やっぱり、委員長は泣いてるよりも怒ってる方が落ちつくや。
後で聞いた話、俺はローラー台から落っこちて頭を打ったらしい。たいした怪我じゃなかったみたいだけど、意識もないし大事を取って病院に運ばれたらしい。
マヌケだなぁ
ローラー台を回すよりも外を走るほうが気持ちいい。だからめったに乗らないからしょうが無いよねって思うけど、委員長を泣かせちゃったのは失敗したな。
ごめんね、いいんちょ。
遅刻はしちゃうかもしれない。
授業もきっと寝ちゃうし、宿題だって忘れちゃう。
でも泣かないで。
怒った顔みせてよ!!
(いつものいいんちょが、スキ)