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「綾美ー、起きなさいー」

「んー」

やっとの思いで声を絞り出す

「2学期そうそう遅刻するわよー」

綾美はのっそりとベッドから這い出し、制服に着替え始めた


「ねぇ君」

ワイシャツのボタンを止め終えた時、小さな声が聞こえた

「寝起きってこわいな、空耳がする」

「空耳じゃないよ」

穏やかな声だった

「ボタン、かけ間違えてる」

ふたつめのボタンがみっつめに

「ほんとだ」

「それでさ、ここから出してくれないか?」

声のもとはどうやらハムスター小屋から聞こえるようだ

「ボンレスが言語を習得した、だと…」

「私はボンレスじゃないよ」

「命名権まで主張してやがるぜ、ハムスターが」

「いいからこちらに来てくれないか?」

穏やかな声にほんの少し苛々したものが混じってきた

「わりと困ってるんだ」

「ひまわりの種ならあげないよ、あれはカロリーが高いらしいから」

「いらないよ」

小屋を覗き込んだ

いつもなら太ったハムスターがぷぅぷぅ鳴いて餌をねだるのだが、本日は晴天ナリ…違った

本日はかってが違った

小さな人

鳶色の髪

ウォルフアイ


整った西洋人形がこちらを見ていた


「人形ごっこは卒業したはずなんだけど」

「人形ではないよ」

小さな人は軽くため息をつきながら言った

「私はリーマス・J・ルーピン」

「おかしな夢ね」

「夢だったらいいのにね」

小さな人はまたため息をついた

「朝起きたらここにいたんだよ、おまけにどうやら小さくなって」

「あなた誰?」

「リーマス・J・ルーピン」


風景がゆっくり流れた


「ホグワーツの元教授だ」


小さな人は小さな肩をすくめた

「そしてここはどこだい?」


「えええええええええ」


綾美の絶叫が部屋に充満した


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