ホームズと呼べ!

□ダンブルドア殺害事件
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私の名前はナオ・H・ワトソン

日本生まれイギリス育ちのハーフで、現在ホグワーツ魔法学校の2年生だ

何故私がこんなものを記しているのか、というのは約1年半前にまで遡って話を始める必要がある



彼との出会いはホグワーツ特急であった


初めての特急で私は偶然コンパートメントで1人きりで暇をもて余していた

列車が出発してから30分ほど経ったころだろうか、そこに利発そうな赤毛の女の子と黒髪の陰気な感じを受ける男の子がやって来たのだった

「ここ座ってもいいかしら?他のコンパートメントに居たんだけど―…ちょっと嫌な人たちが来て」

赤毛の女の子が言った

私は前述の通り話し相手が欲しかったので二つ返事で承諾した

女の子はリリー・エバンズと名乗り男の子は嫌そうにセブルス・スネイプと言った

「貴方の名前は?」

「ナオ・H・ワトソンだよ」

私とエバンズが話しているのを不機嫌に眺めていたスネイプがあんぐりと口を開けた

「わ、ワトソン…?」

「うん、だけどどうかした?」

「い、いや!なんでもない!なんでも…」

スネイプは勢い良く頭を横に振った

そのあとはエバンズと寮の話になったり家族の話になったりしたことを記憶している

そしてその隣でスネイプはぼんやりとしていた

時々なにやら独り言を言っているのが聞こえたことも覚えている

「…H・ワトソン…軍医…助手に…」



私はエバンズと同じグリフィンドールに組分けされ、スネイプはスリザリンに組分けされた

「ワトソンがグリフィンドールに―……いや、しかしワトソンはグリフィンドールのほうがらしいか…」

という彼の呟きは私の耳まで届かなかったのだった


それから彼とは疎遠になるかと思ったが、スネイプは私を見るたびに近寄ってきた

「ワトソン君」

「…なに?」

「そういうときは『なんだい、ホームズ?』だろう」

スネイプは不機嫌に言った

スネイプのミドルネームはホームズなのだろうか?と私は疑問に思ったがあえて口にはしなかった
彼にとってそれが大きな意味があるということに気がついたのは、1年目のクリスマスだった

まさかスネイプからプレゼントがくると思っていなかったのでカードを見た時には驚いた

中身は『緋色の習作』という本だった

魔法薬の本かなにかに違いないと思った私は机の上に即刻放置を決め込むことにした

クリスマスまで勉強などごめんだからだ

しかしクリスマスディナーに広間に行くとスネイプが待ち構えており私に本を読んだか聞いてきた

読んでいないと答えた時の彼の落胆の表情は未だに忘れられない

「早く読みたまえ…ワトソン君」

「わかったよ、スネイプ」

私はチキンをつつきながら言った

「ホームズと呼べ!」

「はいはい」

「いいか?絶対読めよ!?」

「分かった分かった」


私はその時ケーキに夢中になっており上の空で答えたと思う


満腹で部屋に帰り再び本が目にはいった

私は執拗にスネイプがつきまとってきたことを思い出し嫌々本を開いた

1ページだけ読んで感想を捏造しようという趣向であった



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