ホームズと呼べ!

□ホグワーツ七不思議
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「ワトソン君、知っているか?」


スネイプが薄い唇の端を吊り上げながら聞いた

恐らくカメラがあればカメラ目線のキメ顔になっているのだろう

幸か不幸かカメラはまわっていないが


私は酷く憂鬱な気分になった

何故なら彼がこういう顔をする時は120%越えでろくなことにならないからだ

ダンブルドア殺害事件を皮切りに彼はろくでもない事件に首を突っ込み、私を巻き込んでくれた

事件といっても平和なホグワーツで事件らしい事件は起こらない

猫を探してくれーとか浮気かどうか調査してくれーとかばかりだ

因みに前者の件でスネイプは階段から誤って私を突き落として私の足を骨折させたし、
後者の件では私は間女に間違えられスリザリン生に囲まれ問い詰められた

私が憂鬱な気分になるのも至極当然であろう

今度はヒキガエルを探せ!に違いない


「レポートがまだだから」

私は逃げの手札を一枚、場に出す

「そんなことは些末なことさ、いいから僕の話を聞きなさい」

あっさりと手札は無効にされた

「魔法薬学のレポートだから、期限も今日だし」

この手札は効いたようだ

スネイプは思いっきり嫌な顔をした

「ということで、さよなら」

「待て待て待て!!」

スネイプは私の襟首を掴んだ

「うぇっ」

私は息が吸えなくなった

「僕が手伝う」

「遠慮します」

「駄目だ」

私の出した手札が悪いほうに流れ始めた

「ほら、宿題は自分の力でやらなきゃさ」

「黙れ!事件が先だ!!」

スネイプが怒鳴った

生徒が何人か振り返ったが、「あぁまたあいつらか」という顔をして見ないふりをされた

「お前が自分の力でレポートを仕上げるのを待っていたら卒業してしまうだろ!この脳みそトロールが!!」

最早ホームズ口調は置き去りだ

「いいから見せてみろ!」

私は凄まじい気迫に押されて、渋々羊皮紙を渡した

それが大いなる間違いだった




「なんでそうなるんだ?!よく読めこの鳥頭!」

「きちんとした字をかけ!!読めん!」

「お前は授業でなにを聞いていたんだ!?」


などと30分間罵倒され続け、ようやくレポートを終えた

疲労困憊である

そしてさらに疲労困憊なことに巻き込まれると思うと塩をかけられたナメクジよりもげんなりだ

「じゃあ私、提出してくるね」

提出しに行くふりをしてそのまま寮に閉じ籠ってしまおう作戦を敢行する

「待て」

スネイプは眉間に皺を寄せ、立ち上がった

「僕も行く」

「そんなご労足頂くなんて―…」

「黙れ!」



無事レポートを提出した私に向かってスネイプは言った



「ワトソン君、知っているか?」


結局私はスネイプの望んだ振り出しに導かれたのだ




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