ホームズと呼べ!

□ホグワーツ七不思議
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またこの"事件簿"を開く時がくるとは思わなかった

正しく言えば、"思いたくもなかった"のだが

初めてのエイプリルフール事件に続き、七不思議ダンブルドアの怪

勿論、相変わらず彼はろくでもないことに首をつっこみ、その度に酷い目にあっていた

そして、記録すべき3度目の事件が起きたのだった



それはちょうど冬休みに起きた

私はクリスマス休暇をホグワーツで過ごしたことはなかったため、
今年の冬はホグワーツのクリスマスのご馳走を堪能しようと早々に決めたのだった

クリスマスのご馳走は文句なしで素晴らしかった

マイナスの点を挙げれば、ダンブルドアが5分に1度は"どうじゃ、うまかろう、ほえ!!"と頷くまで白目を剥いて迫ってくることだろう

その点を考慮してもテーブルは色鮮やかに飾られ、皆が幸せそうな顔をしていた



ただ、その中で不満そうにしている顔がひとつ


我らがホームズ、スネイプである


彼が不満そうな顔をしている時はだいたい事件がなくて退屈している時である

ならいいだろう?

まさか!!

彼がそのような顔をした時こそ、最も危険なのだ


自分から陰惨、悲惨な事件を呼び寄せるから



私はスネイプのべたつく視線を終始感じていたが、気がつかないふりをして席をたった

「おい」

私は足早に大広間を後にした

「おい」

私は足早に大広間を後に

「おい!!」

私は足早に

「おい!!ワトソン!」

私は足早に大広間を後にするのに失敗した

襟首をがっちり捕まれていたのだ

「やぁ、ホームズ!!メリークリスマス!!」

私は努めて明るく振る舞った

心の中ではもしメリークリシミマスと毒づいていたが

「気がつかなかったよ!!素晴らしいご馳走だったね、じゃあ私は寮に―でゅふっ!!」

「黙れボケ助手め」

「痛い」

殴られた

「事件はないのか」

「誠に残念だけど、ないよホームズ」


「なんでほくほくした顔をしているんだ貴様」

「めっそうもない」

「ところで、だ、事件がなくて暇かね?」

「めっそうもない、暇で暇で忙しいくらいだよ」

私はホームズを睨み付け、言葉を続けた

「だから間違っても事件をつれてこないようにね」

スネイプは薄い唇を尖らせた

「…そんなに僕と捜査するのは嫌か?」

「嫌だよ」

「理由は?」

スネイプはホームズの紳士的な態度をかなぐり捨てて、唸るように言った

「理由?飼い猫探しに一晩中付き合わされたり、浮気調査で勘違いされてスリザリンの女の子たちに教室に閉じ込められたりするのを歓迎できるとでも思うの?」

つい、いままでの鬱憤がたまっていて一息で言ってしまった

「…事件に危険はつきものだ」

「もうまっぴらなの!!あなたの探偵ごっこには」

暫くにらみ合いが続いた

口火を切ったのはスネイプだった

「……わかった」

「ならいいわ」

「今回の事件は僕一人で取り組む」

「怪我しないようにね」

「ぁあ…」

スネイプは小さく呟くと、私を置いて大広間を出ていってしまった

心なしか彼の肩はさがり、しょんぼりしているようにも見えた

「すっきりした!!」

私はそう言いつつも、なんだか釈然としないモヤモヤに襲われていた
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