灼眼の死神〜蒼い穹と友の裏切り〜

□第2楽章、蒼い鳥と愛の詩
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『僕は、なんのためにここにいるのだろう…。』

トーマは、時々こんな事を考える。

「トーマや、どうしたんじゃ?毎日、水鏡を覗いとるようじゃが…。」

「あっ、おばば…。」

おばばは、

「ほぉ、ずいぶんな美人さんじゃのぉ!彼女か?」

おばばにからかわれ、トーマは、顔を赤くして否定する。

「違います!彼女は、僕の妹ですよ!…母親違いですけど…リリーナっていうんです。」

美雪は、トーマの首に巻き付き顔を覗き込む。

「妹は…、リリーナは、生まれつき病弱で、このままでは16歳まで生きられないと言われているんです…。」

「その子は今、いくつなんじゃ?」

「まだ、10歳です。今年の誕生日を無事に迎えられるか心配なんです…。」

うーむと少し考え、トーマの肩を叩き笑顔で言う。

「そんなに心配なら行ってこい!わしが許す!」

「本当ですか!ありがとうございます!」

トーマは、嬉しそうに微笑みおばばに何度も礼を言って部屋に戻る。

「家族か…。わしにもいたのかのぉ…。」

おばばは、トーマの背をみながら意味深につぶやき深いため息をついた。

人間界へ降り立つ準備を整え、三途の川の畔に立つ。

「それじゃあ、行ってこい。くれぐれもへまだけはせんようにな。」

「はい。それでは、行ってきます。」

おばばに見送られ、トーマは、人間界へと降り立った。


―ここは、オーストリア、ノルシュタイン家。

トーマの失踪事件が原因でこの家では、後継者の問題で大騒ぎしていた。
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