〜グリーン・アップル・シード〜
□空飛ぶペンギン
1ページ/4ページ
東京都、江東区、東雲。
「ねぇ、タイキ、いいでしょう?」
「ダメだ。俺たちは、遊びでこれに乗ってるわけじゃないんだ。」
区立第一神機飛行場。
「ケチ!ぷーっ!」
「何度頼んでもダメだよ?神子じゃないと乗れないんだから。」
「そういう、ゼンジロウは、どうなのよ?」
「俺は、高所恐怖症だからダメ。でも、整備は大人に混ざってやってるんだ。この気品漂う聖なる神機、スノーホワイトのな。」
「それ、自分で言う?」
「とは言え、冷戦状態が続いている昨今、いつ本格的になるかわからないからなぁ…そのために、戦力を温存しながら、向こうの出方を視てるわけ。」
「よくわかんない。」
・
「つまりは…って、アカリ君、人の話は最後まで聞こうね!」
格納庫に
「やっぱり、どれも、迫力あるなぁ…。
わたし、純粋に神機が好きで、神機の
は、豆知識から都市伝説的な知識まで知ってるんだ。
そのせいで、“神機オタク”なんて呼ばれちゃって…。
神機は、文字通り、神具で、半世紀前まで国を挙げてのお祭りに使われていた。
それが、いつの頃からか、戦争の道具に姿を変えてしまった。
「どれも、凄いけど、やっぱり、これが一番凄いなぁ…。」
格納庫の奥にある真新しい瑠璃色の神機。
これに名前はまだない。
「戦争が本格的になったらこれも空を飛んで戦うの…?」
−
「あっ、いけない!戻れ、戻れ!」
わたしの“哀しい”や“
ていう感情に反応して光り出してしまった。
「ずいぶん、なつかれているな。」
「あっ、キリハ君。」
・
彼は、
この神機のメインマスターで、
「
「俺の時とは態度が違う。」
「ふぅん…。わたしもいつか乗ってみたいな…。」
「乗ってみるか?」
「えっ、いいの?」
「コクピットに座るだけなら問題ない。俺はいつも座っているが整備のヤツは何も言わない。」