もしも、少子高齢化で若年・同性結婚が認められたら

□ただ…君を愛してる(キリハ目線)
1ページ/3ページ

キリハ

卒業式の朝、たまたまつけたテレビ番組の占いコーナーで

『名前の頭文字が“き”で始まるあなた、今日は何をやっても上手くいかずイライラするでしょう。
大人しくしていた方がいいかも。
ラッキーアイテムの桜の花を頭文字が“た”の人と見るといいことがありそうです。』

という結果だった。

「…くだらん。」

俺はテレビを消し、学校に行った。

『××君、第2ボタン頂戴。』

『あっ、ずるい!私がもらおうと思ったのにぃ!』

卒業式が終わった後、俺の教室にはお目当ての卒業生の第2ボタンをもらおうと下級生がごった返していた。

なんで、俺のところには誰一人来ないんだ!

その理由はすぐに判明した。

『ねぇ、キリハ君の第2ボタンなんで、貰いに行かないの?」

『だって、キリハ君って怖いんだもん。声かけにくいっていうか…近寄りにくいんだよねぇ。』

やはりな。

卑屈になってもしょうがない。



俺の親は来ていない。

行事に来ないのは当たり前となっている。

ほかの奴等が親の迎えが来て帰って行く中、一人で学校を出た。

しばらく歩いて桜並木の遊歩道を歩いていると反対方向から

「もう、タイキったら、紅白饅頭は家に帰ってから食べなさいよ!」

「いいじゃん。はい。」

「むぐっ!ハイキぃ!うわぁっ!」



俺は、咄嗟に女の子を転ばぬように腕を引いた。

「あいたたたぁ…。ごめんなさい!」

「大丈夫だ。おい、お前、道を歩きながら物を食うな。」



「…お前、第2ボタン、欲しいか?」

「へぇ?」

「やると言ったら、もらってくれるか?」

「…うっ、うん。」

「よし。わかった。」

―プチッ。

「やる。じゃあな。」
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ