もしも、少子高齢化で若年・同性結婚が認められたら
□ただ…君を愛してる(キリハ目線)
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キリハ
卒業式の朝、たまたまつけたテレビ番組の占いコーナーで
『名前の頭文字が“き”で始まるあなた、今日は何をやっても上手くいかずイライラするでしょう。
大人しくしていた方がいいかも。
ラッキーアイテムの桜の花を頭文字が“た”の人と見るといいことがありそうです。』
という結果だった。
「…くだらん。」
俺はテレビを消し、学校に行った。
・
『××君、第2ボタン頂戴。』
『あっ、ずるい!私がもらおうと思ったのにぃ!』
卒業式が終わった後、俺の教室にはお目当ての卒業生の第2ボタンをもらおうと下級生がごった返していた。
なんで、俺のところには誰一人来ないんだ!
その理由はすぐに判明した。
『ねぇ、キリハ君の第2ボタンなんで、貰いに行かないの?」
『だって、キリハ君って怖いんだもん。声かけにくいっていうか…近寄りにくいんだよねぇ。』
やはりな。
卑屈になってもしょうがない。
俺の親は来ていない。
行事に来ないのは当たり前となっている。
ほかの奴等が親の迎えが来て帰って行く中、一人で学校を出た。
・
しばらく歩いて桜並木の遊歩道を歩いていると反対方向から
「もう、タイキったら、紅白饅頭は家に帰ってから食べなさいよ!」
「いいじゃん。はい。」
「むぐっ!ハイキぃ!うわぁっ!」
俺は、咄嗟に女の子を転ばぬように腕を引いた。
「あいたたたぁ…。ごめんなさい!」
「大丈夫だ。おい、お前、道を歩きながら物を食うな。」
「…お前、第2ボタン、欲しいか?」
「へぇ?」
「やると言ったら、もらってくれるか?」
「…うっ、うん。」
「よし。わかった。」
―プチッ。
「やる。じゃあな。」