アイドリング∽クロスオーバー
□パーフェクト・マインド
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大1
今日は、待ちに待ったオーディションだ。
上手くいくかな?
まぁ、母さんが勝手に応募したんだから、落ちたってどうでもいいんだけどな。
なあにが、『少しは、男の子らしくなってね!』だよ!(母さんには悪いけど・・・。)
「こら〜!そこの君!どきたまえ!」
はぁ?
俺は、後ろを振り向く。
なんと、俺の後ろから、車体がバカみたいに長い車が、近づいて来ている!
「どわ〜ぁ!」
その車は、既のところで避けた俺の手前で停まった。
俺をひき殺す気か!
車のドアが、開いて黒服を着たいかにも怪しそうな男が出てきたと思ったら、地面に赤い絨毯をひいた。
・・・何が始まるんだ?
唖然と見ている俺をよそに、メイドや執事が赤い絨毯に沿って横一列に並ぶ。
「行ってらっしゃいませ、トーマ様!」
掛け声と共に長身の男が車から降りてきた
男が、絨毯を歩くと共にメイドと執事は、同じ言葉をハモりながら薔薇の花吹雪で迎える。
呆然と見ている俺をよそに平然と会場に入って行った。
「さあ、私たちは、トーマ様がお戻りになるまで待機しましょう!」
執事の一人の掛け声で、一斉に車に乗り込み走り去って行った。
・
おい!この地面は誰が片付けるんだよ!
・・・ん?
何か大事な事を忘れてるような・・・。
・・・あっ!
オーディション!
すっかり忘れてた!
早くしねぇと、受付が終わっちまう!
急げ〜ぇ!
今、俺の頭の中で母さんと知香が、『頑張ってねぇ。』と笑顔で手を振っている。
頼む!
間に合ってくれ〜ぇ!
「遅れました!受付お願いします!」
俺は、書類が入った封筒を受付台に叩き付ける。
ちらっと時計を見る。
「間に合ったのか・・・?間に合ったんだよな!」
「あっ、はい・・・。エントリー受け付けます。どうぞ、こちらでお待ち下さい。」
・・・ふう、間に合った・・・。
エントリーNo.7610番か・・・。
あの後ろの席に座ってる、エントリーNo.1910番の、トンマ様の事が、気になって仕方がない!
トーマだったっけ?
そんな事はどうでもいい!
今は、オーディションに集中だ!
「それでは、これより、新人バックダンサー発掘オーディションを開始致します!」
司会者の声と同時に、数人の審査員が、入ってきた。
「あっ、あれって、ミックス・ラズベリーの藤枝淑乃じゃない!
「凄い!本物よ!」
・
「なお、今回のオーディションにおいて藤枝淑乃も審査員として参加されます。」
それを聞いた周りから『え〜っ!』と驚きの声がこだまする。