声―ボクたちはその美しい蒼い花の名前を知らない―

□第1章、邂逅-イノセントブルー-(タイキ目線)
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拡張型心筋症を患った少年、工藤タイキは、“神の申し子”がいるという総合病院に入院するため、東京都、東雲から引っ越して来た。

「スゲーッ!食堂が、レストランだ!あっ、旅行代理店やコンビニもある!あっ…。」

「タイキ、あんまり走り回らないでよ。」

「はぁい。」

『キリハの今日のスケジュールはどうだ?』

『二十代女性の性別適合手術の男性器の移植手術と、三十代女性の肝臓移植手術です。』

『今日もたった2件か。まぁ、想定内だな。』

『えぇ。でも、あの少年は神がこの国の現代医療に携わる私たちに授けてくれた救世主ですよ。』

『救世主とは大袈裟な…』

挨拶をするために来たナースステーションでたまたま看護師の会話が耳に入った。

(キリハ…かぁ。どんな奴なんだろう?)

「それでは、しばらくの間、お世話になります。タイキ、挨拶しなさい。」

「よっ、宜しくお願いします。」

「はい。よろしくね。病室を案内するわね。」

「はっ、はい。」

タイキは、国立総合病院に移り、“神の申し子”と呼ばれている少年の名がキリハであることを知り…。

その日の夕方…。

夕飯の混雑時に来てしまった俺は、A定食(魚メイン)と一緒に整理券を渡された。

その席は、俺と同じのくらいの金髪に青い瞳の男の前だった。

「よう、ここ座るな。」

「……。」

返事はなかったが構わず座って夕飯を食べる。

そいつに話しかけても何も返答がなくつまらなかったのでそいつを観察することにした。

そして、“あること”に気がついた…。

夕飯を食べ終え、俺は、整理券の裏に自分の名前と生年月日…つまり、自己紹介文を書いて別れ際そいつの胸ポケットに押し込んだ。

「暇な時、いつでも来いよ。じゃあな。」

そう言ってレストランを出た。
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