灼眼の死神〜蒼い穹と友の裏切り〜

□第2楽章、蒼い鳥と愛の詩
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2、『亥の刻参り代行の怪』


一仕事を終えて仮眠をとったトーマは、背伸びをしてベッドから出る。

部屋を出て長い廊下を歩いていると居間から裁縫の音ではなく、おばばのけたけたという奇妙な笑い声が聞こえる。

トーマは、恐る恐る、障子をノックした。

「おばば、トーマです。入ります。」

中に入ると、人間界の紙幣(特に日本のもの)が、あちらこちらにばら蒔いているおばばがいる。

「おばば、何をなさっていらっしゃるのですか?それにその大金は?」

呆れているトーマに気がつき数枚の紙幣で扇子のように扇ぐ。

「トーマかい。これは報酬じゃ。最近、いいアルバイトを見つけてな。ぼろ儲けじゃ!」

「アルバイトですか…。なんのバイトをしていらっしゃるんです?」

これだ。と袋を渡された。

「これは?」

「着てみれば分かる。なあに、中にはまっとうな衣装が入っておるよ。」

そして、しばらく後。

「…で、これのどこがまっとうな衣装なんですか!」

トーマは、耳まで紅くして持っている藁人形と金槌を振り回して怒鳴る。

おばばは、“よく似合っておるよ。”と腹を抱えて笑う。

「そうじゃ、今回のアルバイトは、トーマにしてもらうとしよう!」

ふざけるなぁ!と、大混乱ながら、怒鳴る。

「いいから聞け、このバイトは、その名も、『亥の刻参り代行人』(一回、税込、1万5千円)じゃ!」

怒鳴るだけ怒鳴ってようやく落ち着きを取り戻した、トーマにおばばは、真面目に言った。

「そんなバイトで、儲かるんですか?」

「儲かるからこの大金があるじゃろうて。」

トーマは、周りに散らかっている紙幣を見て納得した。

「とりあえず、このお金は、片付けてくださいね。もったいないので…。」

それもそうじゃなと二人で居間を片付ける。

「部屋も片付いた事だし、じゃ、元気に行って来い!」

と、半ば強引に仕事を引き受けたのだった。

所変わって、ここは、人間界。

今のこの世界はよい子は眠る丑みつ刻。
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