魔法少年☆マサル!
□太陽の拳―ガンドレット―
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翌日、私立鳳中学校。
『全人類に代わって悪を断つ!美少女戦士セイラたん、ここに見参!』
クラスメート数人が携帯電話で土曜夜7時から放送している長寿アニメ『美少女戦士セイラたん』の動画を見ていた。
「いいよなぁ、セイラたん。いつ見てもカッコいいぜ!」
「可愛いんじゃなくてカッコいいのがツボなんだよ!」
「そう言えば、大門も妹さんと見てるんだよな?セイラたん。」
「うん?日本一のケンカ番長である大門大様がそんな子供騙しなアニメ見るわけねぇだろう?」
「そっか、そうだよな。」
・
実はというと…
大は、『美少女戦士セイラたん』の隠れたファンだったりする。
但し、“新垣結衣”が主人公を演じている実写版アニメだけであるが…。
「あぁ、俺もセイラたんみたいに魔法を使って悪い奴を退治したいなぁ…。」
「だが!あれは、アニメの話!日本一のケンカ番長である大門大様が、魔法なんかに頼れるか!」
「…でも、なぁ…。」
と、脳内の自分と葛藤していると…。
「マジヤバいんだけど!オカルトとか、勘弁してよ!怖くて一人でお風呂入れないよぉ!どうしよう!」
隣から、日奈森あむの声がした。
「なんだ?お前、怖い話、苦手なのか?」
「あっ、えっと、確か、大君だったけ?」
「おう、日本一のケンカ番長、大門大だ。呼ぶ時は大でいいぞ。」
「じゃあ、あたしもあむでいいよ。ところで、あれ、何?」
「あれって…わあっ!こっ、これは、違うんだ!」
壁に貼っているポスターを必死に隠す。
「これは…その…。」
「違う、ベッドの上。」
・
ベッドの上に目をやる。
「うっ、うわぁあぁっ!なんで、俺のベッドで女が寝てるんだ!」
「うっ、うーん…うるさいなぁ…。」
「あぁ、もしかして…この人、ガッキーじゃない!」
「ガッキー?」
「ガッキーっていったら、実写版『美少女戦士セイラたん』の主人公、“星見セイラ”を演じてる、新垣結衣の愛称だよ!」
「えっ、えぇえぇっ!おまっ、お前があのセイラたんなのか!」
「そうだけど、文句ある?」
「ないない!あるわけがねぇ!おっ、俺、ずっと、セイラたんのファンだったんだ!」
「あら、結衣ちゃん、ごめんなさいね、
「結衣ちゃんって、母さんが上げたのか!?」
「えぇ。ダメだった?」
「ありがとう、母さん!俺、母さんの息子で良かった!」
「喜んでくれて嬉しいわ。結衣ちゃんも夕飯ご一緒する?」
「えぇ。ぜひ。」