桜の咲く頃に月は昇る
□〜その失われた何かを…〜
2ページ/3ページ
1
あの日から1年…
ボクたちは、進み続けていた。
まっすぐ…前へ
立ち止まってはいけなかった。
彼は、それを許さなかったから。
『へい、パス!』
『くっ…あっ、タイキさん!』
『オッケー!いけぇ!』
―ピピ〜ッ!
『よっしゃー!』
―「タイキさん、お疲れ様。」
「お疲れ。ユウ、大活躍だったな。」
「タイキさんも。」
ボクは、タイキさんとバスケットボールチームを組んで、活躍していた。
「あっ、タギル!」
明石タギル君…。
ボクたちのバスケットボールチーム『クロスハート』のチームメイト。
何故かタイキさんによく懐いている。
大したことないクセに…。
かなり、疎ましい…。
だけど…タイキさんは…
「まぁ、タギルも頑張れば大丈夫だよ。」
この調子…。
ほんっとにもう!
タイキさん、お人好し、なおかつ鈍感!