稲妻

□初めてのキス
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「あのさ、吹雪くん」
「何?」

読んでいた本から顔をあげる。ヒロトくんは、凄く言いにくそうな顔をしていた。

「どうしたの?」
「キス・・・してもいい?」「なっ・・・!」

顔に急速に熱が集まるのが分かった。言いにくそうな顔をしてた割にはいうことこれなの!?っていうか

「吹雪くん?」
「バカっ!!」
「いたっ!!」

持っていた本を反射的に投げたらヒロトくんの顔に当たった。

「何で本投げるの!?」
「ヒロトくんが悪いんだよ・・・」
「キスしていいか聞いたから?」

また顔が少しだけ熱くなる。無言で頷くとヒロトくんは苦笑した。

「そういうのは、聞いてからやるもんじゃないよ・・・」
「確かにそうだね」
「じゃあ、何で聞くのさ」
「ほら、アレだよ」

ヒロトくんは、僕にしか見せない恋人の顔で言った。

「俺の気持ちだけで先走って吹雪くんに嫌われたりしたら嫌だから」

ね、そういってヒロトくんは柔らかく笑った。
そんな僕の大好きな表情でそんなことを言われたら僕は何も言えなくなってしまう。
ヒロトくんは僕の後ろに座ると優しく抱きしめてきた。

「吹雪くんが嫌なら今じゃなくてもいつでもいい。でも、初めては吹雪くんがいいな」
「ヒロトくん・・・」

僕の体に回された腕を握る。正直、ヒロトくんがこんなにも僕のことを考えてるなんて思ってなかった。素直に嬉しかった。でもね、そう思ってるのはヒロトくんだけじゃないんだよ。

「僕もね・・・」
「うん?」
「初めてはヒロトくんがいい。ううん、ヒロトくんじゃなきゃ嫌だよ。それにね・・・別に嫌じゃないよ」

体に回されていた手を外してヒロトくんに向き合う。多分、僕の顔真っ赤だろうな。

「ヒロトくん、顔真っ赤だよ」
「吹雪くんもだから」

ヒロトくんの頬を手で包むとヒロトくんも僕にしてきた。
「ああいうこというのは反則だよ」
「最初に言ったのはヒロトくんのほうだよ」
「それもそっか」

僕が笑うとヒロトくんも笑う。

「ねぇ、してもいい?」
「うん」

優しく優しく唇を重ねた。初めてのキス。どうしたらいいのかもどんなものなのかも分からないけどヒロトくんとのキスは僕を幸せな気持ちで一杯にした。
これからも初めては全部ヒロトくんとがいいな。それで幸せを一杯感じたいって思ったんだ。


『初めてのキス』
(吹雪くんの唇・・・柔らかいし甘い)
(そういうこと言わないでよ!!)




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