稲妻
□安心できる君の手を僕は握りしめた
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息を切らしながら俺は走っていた。
急に降りだした大粒の雨は容赦なく俺の体を叩きつける。例えお気に入りのズボンに泥がついても足は止めなかった。
とりあえず雨宿りの出来そうなところを探していた。こんなことで風邪を引いてしまったら最悪だ。
周りは住宅街で雨宿りの出来そうなところは中々見つからなくて、元々鬼道ちゃんの家に行くつもりだったからこの際、鬼道ちゃんの家にこのまま走っていこうかと考えていた。
そう考えた矢先に雨足は更に強くなる。
「っくそ!!」
息は辛くなる一方だったが少しだけ速度をあげて走った。それも長くは続かずつい歩きそうになる。
そんなときだった。公園が見えたのは――。
その公園には大きいすべりだいがあり、すべりだいの下には人が入って遊ぶための大きい横穴があいていた。とりあえず、少しでも雨宿りをしたかった俺は迷わず公園に行き穴に入った。
「ったく・・・何だよ、この雨」
雨は勢いを抑えることなく降り続ける。髪も服も肌に張りついて気持ち悪い。
「鬼道ちゃん心配してっかなぁ・・・」
そう思って携帯を開けてみるが画面は真っ暗でボタンを押しても電源は入らない。
「充電なくなってるし・・・最悪」
体育座りをして膝に顔を埋める。何分か経っても雨は全くといっていいほどやむ気配を見せない。あげくの果てに雷まで鳴り出した。
「っ!!」
正直言って俺は雷が嫌いだ。今だってもぅ泣きたいぐらい。急に恐怖と不安が押し寄せてきた。 鬼道ちゃんの家まで走っていこうにも雨は降っているし雷も鳴っている。どっちみち、今の俺にはここに居る以外に選択肢はない。何とかして雷は耐えるしかなかった。音だけだったためしばらく耳を塞いでいたら一瞬だけ光ったのが目の端に入った。
「もうヤダ・・・鬼道ちゃん・・・」
そうやってポツリと呟いたときだった。水の跳ねる音が近くで聞こえ俺のよく知ってる声がしたのは。
「見つけたぞ、不動」
「鬼道ちゃん?何で・・・」
横を見ると傘をさした鬼道ちゃんがしゃがんでいた。
「お前が来ると言ったのになかなか来ないから心配になってな。それにこの雨だ、いつ雷が鳴ってもおかしくはないだろう」
「探してくれてたのか?」
「お前に何かあっても困るし、それに・・・お前は雷が嫌いだろう?」
そういって鬼道ちゃんは微笑した。そして、俺に手を伸ばした。
「ほら、俺の家に行くぞ」
「ああ・・・ありがとな」
「どういたしまして」
俺は鬼道ちゃんの手をとった。鬼道ちゃんの家までに何回か雷がなったが鬼道ちゃんがずっと手を繋いでくれていたためあまり怖くなかった気がした。
『安心できる君の手を僕は握りしめた』
(不動、怖いのか?)
(うっせぇ)
(家に着いたらとりあえず風呂だな、そのままだと風邪をひく)
(分かってるよ)
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