稲妻
□僕は女に憧れた
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「僕のこと好き?」
「好きだよ」
「愛してる?」
「世界中の誰よりも」
「僕もだよ」
二人で抱きしめあう。
このやり取りさえもが悲しく思えて涙が頬を伝う。
「どうしたの?」
「何でもないよ、何でも・・・」
どれだけ愛を伝えても、どれほど愛を伝えられてもこの恋は実らないのです。
僕は“彼”に恋をしたから。
神様、どうして僕は男なの。どうして女じゃなかったの。どうして、どうして。
僕は“彼”に恋をしました。
それはとても悲しい恋でした。
「ねぇ、ヒロトくん」
「何?」
「別れよう」
『僕は女に憧れた』
(そうしたら、ずっとずっと君と居れたのに)
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