稲妻
□どうして俺じゃないんですか
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自室のベッドに寝転がった。体は日々の練習で重たく感じる。
寝返りを打つとベッド横にある棚に置いてあった写真が目に留まる。気づいたら手に取っていた。
写真は何ヵ月か前に撮った帝国の写真でもちろん鬼道も居る。だが、鬼道の横には不動が居る。
「鬼道・・・」
ポツリとその名を口にした。俺は鬼道がずっと前から好きだった。ずっと鬼道だけを見てきた。
だけど、その鬼道は俺ではなく不動のことが好きだった。二人が付き合うことになったときは胸が苦しくて苦しくて仕方がなかった。でも、鬼道が幸せになれて嬉しいとも感じた。
その時にもう諦めようと思ったんだ。でも、諦めきれなくて今も好きなんだ。
「どうして・・・」
気づいたら声がでていた。消えてしまいそうなほど小さな小さな声。
溢れる涙は頬を伝う。
「どうして不動なんだ・・・」
壊れてしまいそうなぐらい写真たてを握りしめた。
『どうして俺じゃないんですか』
(お前と結ばれたかったんだ)
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