稲妻

□喧嘩するほど仲がいい
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「「この、わからずやっ!!」」

朝から合宿所には二人の大きな声が響き渡った。
風丸と緑川は誰がどうみても分かるくらい機嫌が悪かった。
多分、ちょっと喧嘩したのだろうと誰もが思った。
何せ、この二人はいつも側に居てチーム内でもラブラブで有名だ。
朝食では、いつも隣に座るのに今日は違う。

「円堂、隣いいか?」
「あ、おう」

いつも天真爛漫な円堂でもどもってしまうくらい風丸の顔には怒りの色が浮かんでいた。

「ヒロト、横座るから」
「う、うん」

こっちはこっちでどもってしまう。
離れて座っても険悪な空気は直らず寧ろ食堂一帯に広がる。

「悪いな、円堂。迷惑かけて」
「いや、別にいいけど」
「あいつが俺のいっていることを理解しないもんでな」

風丸がトゲのある言い方をすると負けじと緑川も言う。

「ごめん、ヒロト。風丸が俺の言うことを聞いてくれないもんだから」
「いや、うん・・・」

それを聞くと風丸は席を立った。

「何だよ、その言い方は!!緑川のほうこそ俺の話聞いてくれないだろ!?」
「違うよ!風丸が聞いてくれないんじゃん!」

そこから言い合いが始まり、円堂が止めようとしたところで秋が大きな声で「喧嘩なんかしないの!!」と叫んだ。
それを聞き、二人は秋に「ごめん」と謝り席に座った。

それからは二人は終始無言でご飯を食べて部屋に戻ってしまった。
二人が出ていってしまった後の食堂では緊急会議が開かれた。

「俺、あんなキレた風丸見たことない」
「俺もあんな緑川初めて見た」
「どうしたんだろうね」
「心配だな」
「だな」
「なんで喧嘩したんだろうな」
「二人にもいろいろあるんだろ。とりあえずだ、あの二人がこのまま険悪状態だと困る」
「あの二人パスでも息ぴったりだもんね」
「そうだ、ということで円堂、ヒロト二人で説得してこい」
「ええ!?」
「分かった!俺、風丸のとこ行ってくる!!」
「ちょっと、円堂くん!」
「ヒロトくん、頑張れ!!」
「・・・ったく、もう」

鬼道の考案によって二人は風丸と緑川の部屋に行くことになった。


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