稲妻

□そんなところが好き
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「お前、爪長いな」
「そう?」
「ちょっとだけどな」

風丸は緑川の手の爪を見ながら言った。

「まぁ、まだいっか」
「でもそれ以上伸ばすと割れるぞ」
「それはやだなぁ・・・でも切るのめんどくさいんだよ」
「まったく・・・」

緑川の適当な性格は知っていたが正直ここまでとは思ってなかったために風丸は呆れた。

「緑川、爪切り持ってこい。切ってやるから」
「いいの!?」
「あぁ」

ありがとう。そういいながら緑川は爪切りを持ってきた。風丸は緑川を脚の間に座らせると爪を切り始めた。
パチン、パチンと爪を切る音がいやに大きく聞こえる。

「ねぇ」
「何だ?」
「風丸ってさ本当に面倒見いいよね」
「そうか?」
「うん、そういうところ好きだよ」

パチン。
急に爪を切る音が止まった。緑川が不思議に思って風丸の顔を見ようと身を捩ろうとすると制止の声がかかった。

「緑川、こっち見るなよ」
「え?何で」
「いや・・・その、さっきのはダメだろ」
「さっきの・・・?」

緑川はなんのことか分からなかったらしく一瞬考え込んだが分かったのかすぐ顔を赤くした。

「いや、あれはその」
「かなり嬉しかったんだけど?」
「・・・そう?」
「あぁ、俺も言ってやろうか?」
「え?」

風丸は緑川の耳に口を寄せて呟いた。

「俺は緑川の無鉄砲なとことか馬鹿みたいに無茶するとこが好きだよ」
「っ・・・」

緑川は何かに耐えるようにきつく瞼を閉じていた。

「緑川?」
「何・・・やってんのさ!!恥ずかしいじゃんか」
「俺も恥ずかしかったんだって」

くってかかってきた緑川を流して風丸はまた爪を切り始めた。

『そんなところが好き』
(これからも変わらず居てよね)
(お前こそな)



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