稲妻

□愛ある嘘はついてもいいの
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「俺はお前が嫌いだ」

神童の家に遊びに来た俺は部屋に入ると一番最初にそういった。神童は特に気にもとめず、何事もないかのようにソファに座った。

「そうか、じゃあ俺もお前のことが嫌いだ。大嫌い」
「俺はそれ以上に嫌いだけどな。横に座りたくもない」

俺も神童と同じようにお互いのいったことを気にもとめず神童の横に座った。

「俺もそれ以上にお前が嫌いだ。お前になんか触れたくもない」

そういって神童は横にいる俺の手を握った。

「ああ、俺もだ」

俺は神童の手を握り返した。

「俺はお前のことを拓人なんて呼びたくないし、お前に蘭丸と呼ばれたくもない」
「俺はお前が居ないと生きていけないわけじゃない。だからいつも側に居ないでほしい」

神童は少し座る位置をずらした。俺との距離が少し近くなる。

「拓人、近い。もっと離れて」
「分かってる。なぁ蘭丸、俺はお前に毎日会いたくない」
「俺も毎日会いたくない。拓人の顔なんか見たくない。こっち向くな」
「・・・お前にキスなんてしたくない」
「もちろん。俺もだよ」
「大嫌い。蘭丸」
「大嫌い。拓人」

見つめ合って俺たちは口付けた。

好き。大好き。
君の横に座っていたい。
君に触れたい。
君に名前で呼んでほしい。
君が居ないと生きていけない。
だからずっと側に居て。
もっと俺の近くに居て。
離れてっていっても離れてやらないよ。
俺は君に毎日会いたいの。
君の顔が見たいの。
こっちを向いて。
君にキスがしたいな。
やっぱ大好き。

エイプリルフール・・・。
俺たちはこうして愛を確かめ合う。


『愛ある嘘はついてもいいの』
(いつも素直にいえない)
(だから今日はいっぱい嘘をつくんだ)
(天邪鬼な自分に少し感謝)




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