稲妻

□そして快楽の海に僕等は溺れる
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「ねぇやっぱりその・・・やめない?」

ベッドの上で仰向けになっていた吹雪くんは俺を見上げながらそう言った。

「何で?」

俺が吹雪くんの顔の横に手をついて顔を近づけると吹雪くんは肩をびくっと揺らした。

「だって、その・・・・」
「やろうって言ったのは吹雪くんだよ?それとも何?今更怖気づいちゃった?」
「っ!・・・違うよ」
「じゃぁ、何?」

吹雪くんの目に涙がたまっていく。俺はそれをじっと見ていた。

「怖いの・・・。やろうって言ったのは僕だよ。でも、怖い・・・。しちゃったら、もう後戻りなんてできないんだよ?それに・・・・」
「それに?」

初めては痛いって言うから・・・。そういって吹雪くんは顔を真っ赤にした。俺がきょとんとして吹雪くんを見ていると吹雪くんは見ないでって言って腕で顔を隠した。

「ねぇ、吹雪くん」
「何?・・・・んっ」

俺は吹雪くんの腕をどけるとキスをした。そして、目をじっと見る。

「・・・怖いのは俺も一緒だよ。初めてなのも一緒。それに、俺たちが体を重ねようとしてるのは愛を深めるためでしょ?愛がない行為をするわけじゃない。ね?」
「うん・・・そうだね」
「それに出来るだけ優しくするからさ。やろうよ」
「うん・・・うん。ごめんね」
「別に大丈夫だよ」

俺と吹雪くんは少し笑うとまた唇を重ねた。今度は深く長く甘いキス。ここからは俺たちだけの秘密。夜はまだ始まったばかり。



『そして快楽の海に僕等は溺れる』
(こうして君と愛を分かち合いたかった)
(僕らの距離はまた近づく)



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