TOX

□大きな手と小さな手
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「ジュード、ちょっと手を出してくれないか?」

みんなで次の街を目指して歩いているときに急にミラが言った。
僕は不思議に思いながらもミラのいうように手を出した。

「コレでいいの?」
「あぁ、それでいいよ」

そういってミラは僕の手と自分の手をつなぎ合わせた。

「ちょっと・・・ミラ!?」

急なことに僕が大きい声をだしたために前を歩いていたみんなが後ろを振り向き、寄ってきた。

「ジュードー?どうしたの・・・ってミラ!?何で2人手繋いでんの!?」
「僕が聞きたいよ!ミラ?」
「何だ?」
「何だっていうか・・・コレは・・・」

僕が理由を聞くために繋がれた手を視界に入るように上に上げるとミラはああ、と頷いて

「ジュードの手は、大きくて繋いでると安心するからな」
「そんな理由!?」
「むっ・・・そんな理由とは何だ。本当のことだぞ」
「あぁもう、ミラごめんって」

ミラは少しだけ怒ったような顔をした。でも、繋いだ手は離さない。今までのやりとりを聞いていたエリーゼはミラと手を繋いでいる反対側に来ると僕の手と手を繋いだ。

「エリーゼ!?」
「わぁ・・・・ジュードの手大きいです・・・」
「エリーゼ、何か安心するだろう?」
「はい・・・」

ビックリしている僕をよそにエリーゼは笑顔を浮かべている。

「エリーゼ、いいなぁー!私もジュードと手繋ぐー!!」
「レイアまで!!もぅいいって!!」
「えー、ジュード私にだけ冷たいー」

レイアまで悪ノリをして手を繋ぐといってきたからそれは断った。ミラもエリーゼも今は離す気はなさそうだ。

「おーおー・・・ジュードくんはモテモテでいいねぇー」
「ふざけてないでコレどうしたらいいのさ、アルヴィン」
「さぁー?」

アルヴィンは困っている僕を見て明らかに楽しんでいる。

「ジュードさん、女性に囲まれて嬉しいと思いますがそろそろ動かないと日が暮れるまでに街にたどりつけませんよ」
「もぅ・・・・ローエンまで・・でも、そうだね。そろそろ動かないと・・・」

僕がそう言うとローエン、アルヴィン、レイアは前を歩き始めた。エリーゼは僕の手を離しレイアたちのところへ駆けていった。ミラはまだ離さない。

「ジュードー!ミラー!置いてくよー」
「分かってるって!!ミラ?行かないと置いてかれるよ」
「そうだな、いくとするか」

そういってミラは僕の手を引いて歩き出した。

「ミラ、手離さないの?」
「嫌か?」
「嫌・・・じゃないけど・・・」
「ならもう少しだけこのままでいさせてくれ。私はジュードの手が大好きなんだ」
「そこまで言うなら分かったよ」
「ありがとう」

ミラはそういって少しだけ微笑んだ。
ミラは僕の手が大きくて安心できて好きだって言った。僕もだよ、ミラ。僕もミラの僕より小さくて白くて綺麗な手が大好きなんだ。
だから、もう少しこのままでいたいって思ってるのは僕だけの秘密。
ミラが僕の手を少しだけ強く握った。
僕はその手を握り返した。

『大きな手と小さな手』
(エリーゼとジュードが手を繋いだときのモヤモヤ感は何だったんだろうな・・・)
(ミラ?どうしたの?)
(いや、何でもないよ)


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