TOX

□怒り=愛情
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「ジュード、ミラに何したの!!」
「何もしてないよ!」
「嘘ついてないですよね?」
「当たり前でしょ!」
「じゃぁ、何でミラはあんなに機嫌が悪いのよ」

そういってレイアとエリーゼはジっと僕の顔を見る。僕は目をそらしてミラを見た。そこにはすごく機嫌の悪いミラがいる。
顔には怒りの色が浮かんでいるし、それだけでなく態度や行動にもミラの機嫌の悪さは滲み出ていた。
それに何よりも僕に対してはいろいろと酷かった。話しかけては無視をされ、リンクをしてはすぐに切られて・・・。
そんなミラの行動からミラの今日の機嫌の悪さの原因は僕にあると思ったレイアとエリーゼはさっきからずっと僕に質問攻めをしている。
僕もミラは僕以外にはほぼ普段どうりに接しているから僕が原因で怒っているんだとはうすうす感じていた。だけど、何が原因で怒っているのかがまったく分からない。
そんなまま、一日が終わろうとしていた。

「ごちそうさま」

今日泊まる宿屋で料理を食べ終えた後、ミラはすぐ立ち上がった。

「ミラ、どこ行くの?」
「私はもう寝る」

ちょっと、ミラ!、そんなレイアの声も聞かずにミラは歩いて宿屋でとった部屋まで行ってしまった。
少しの間、沈黙が続いた。

「ミラ・・・ジュード・・・」

エリーゼはミラが歩いていったほうと僕を交互に見た。

「ねぇ、ジュード・・・」

レイアは僕のほうを不安そうな顔で見た。

「大丈夫だよ、レイア。今から話に行ってくるから」
「ジュード、仲直りしてきてくださいね?」
「うん」

エリーゼの頭を優しく撫でた。
ミラが何で怒っているのかなんて僕には分からない。でも、微かにだが怒っているのは僕も同じだ。
身に覚えのないことで怒られたあげく無視までされて。
それで怒らないほど僕は優しくないし、第一好きな人、仮にも恋人にそういうことをされたら誰だって辛い。
僕はみんなから離れてミラの入っていった部屋の前まで歩いていって少し息をすってドアをノックした。


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