TOX

□怒り=愛情
2ページ/3ページ


―コンコン。
ドアをのノックしても返事がない。

「ミラ、開けるよ」

声をかけてドアを開けるとミラはベッドの上に座って外を眺めていた。
僕に視線をうつすと一瞬眉をしかめて、また外を眺めはじめた。

「ねぇ、ミラ」

僕が歩を進めてミラに近づく。
名前を呼んでも何の反応も示さない。

「ミラ!」
「出てけ!この部屋から今すぐ!」
「ミラ・・・・」

語調を強めていうとミラはこっちを見た。しかし、顔は怒りの色をあらわにしている。
僕はミラが怒っているのもおかまいなしに近づいていく。

「嫌だよ。僕はミラと話にきたんだ」
「私は話すことなんてない」
「でも、僕はある」

また一歩近づく。

「何でそんなに怒ってるの?」
「私は怒ってなどいない」
「じゃあ、何でそんな怒っているけど寂しそうな顔するのさ!」
「っ!!・・・もういい!私が出て行く」

ベッドからたって出て行こうとしたミラの手首を掴む。

「離せ、ジュード!」
「嫌だよ」
「離せって言ってるだろう!」
「離さない」
「ジュード・・・っ!!」

僕はミラの体を抱きしめた。痛くならない程度に精一杯抱きしめた。
とたんにさっきまで抵抗していたミラの体がおとなしくなる。僕はミラにベッドに座らせると隣に座った。ミラがどこかに行ってしまわないように僕の両手でミラの手を包んでいる。

「ミラ・・・何で今日はそんなに機嫌悪いの?」
「・・・・」
「僕のこと・・嫌いになった?」
「そんなこと・・・あるわけないだろう!!ただ・・・」
「ただ・・・?」
「ジュードがエリーゼやレイアといるとき、私といるとき以上に楽しくしている気がして・・・そう考えたら胸が痛くなって・・・」
「ミラ・・・・」

ぽつぽつとミラは話始めた。凄く弱気な声だ。

「おかしいだろう?エリーゼやレイアに苛立ちを覚えた・・・ジュードにもなんだ・・・・こんな私は嫌なんだ!」
「・・・」
「ジュード・・・?」

ミラの体を優しく優しく抱きしめた。ただ、単に彼女はやきもちを妬いていたのだ。初めてのやきもちに自分でもわけが分からなくなって苛立っていた。たったそれだけのことだったんだ。
ミラに無視されて辛かった気持ちなんて気付けばなくなっていた。

「ミラ、それはねやきもちって言うんだよ」
「やきもち・・・?」
「うん。僕がほかの女の子と居ると胸が苦しくなるんでしょ?それがやきもち」
「そう・・・なのか」
「そうだよ」
「私は、それほどジュードのことが好きなのか」
「そういうことだね」

僕が笑うとミラは頬を赤らめた。
ミラがやきもちをするなんて思っていなかったからすごく嬉しかった。
ミラはまだまだ知らない感情がたくさんあるからね。僕がミラにたくさんの感情を教えてあげるよ。
ミラの気持ちが一方通行じゃないのは僕だけの秘密。

『怒り=愛情』
(ジュードは・・・やきもちをするのか?)
(秘密だよ)

あとがき→



.

次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ