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□ヤキモチ?
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たまらなくなった律は、ぐっと拳を握りしめ女子社員たちの方に向いた。
しかしその瞬間、後ろから覆いかぶさってきた何かに手で口を遮られそのままずるずると給湯室まで引きずり込まれた。
ようやく解放された律が振り向くと、そこには高野の姿があった。

「高野さん・・・」
「何やってんだ?お前。」
「何って・・・あの子たちが高野さんこと遊びでもいいとかなんとかあまりにいい加減なこと言ってたから、少しムッとして・・・」
「別に。そそもそも興味ないし。」

いたって冷静な高野に律の興奮もだんだんと冷めてきた。

「でも、お前がヤキモチ妬くとは・・・やっぱ俺って愛されてるな。」
「誤解しないでください!俺はあくまで部下として上司のあまりの言われように少し腹が立っただけです!」
「嘘つけ。」

壁際に追いやられ強引に唇を奪われる。人気のない給湯室に二人きりだということに、律はいまになって気が付いた。
ここ最近のあまりの仕事の忙しさから解放され気が抜けているのか、高野の舌にいいように絡め取られ律は頭の中がボーッとなる。
高野が素早く律のシャツのボタンを外し始めたので、吃驚した律は高野の手を抑えようとした。

「ちょっ・・・高野さん!ここ会社ですよ!」
「へぇ〜・・・会社じゃなきゃいいわけ?それに、お前の身体はやめてくれと言ってないけど?」
「/////な、何を・・・」

ニヤリと口の端をあげながら高野の手が律のモノに触れ、律は身体をビクっと震わせた。
キスだけで身体が反応していることに恥かしくてたまらない。

「安心しろ。俺はお前以外一切興味ないから。いまも・・・これからもだ・・・」

耳元で囁く甘い言葉に律が築いた防波堤がいとも簡単に崩されていく。同時にさっきまでざわめいていた心が次第に癒されていった。

−俺はやっぱり嫉妬していたんだろうか。認めたくない、認めたくないけど・・・

上司と部下だけの関係でいたい。だけど横澤や他の女性たちが高野と仲良くしているところを見る度にそれを許せない自分がいるのも律は自覚し始めていた。
高野に抵抗する律の手は段々力が入らなくなってきた。

「・・・だから高野さん、ここ会社・・・」
「そんなに気にするならさっさと企画書終わらせろ。今日は俺の部屋に来い、いいな?」
「だ・・・誰が!」
「そうしたら火照ったお前の身体、俺が鎮めてやる。」

そう言って高野は給湯室を出て行った。完全に力が抜けた律はその場にしゃがみこんだ。
火がついたような熱はいまだじんじんと律の心と身体を侵している。

「くそっ!」

律は拳を床に思いっきり打ちつけた。
いつか認めなければいけない時が来るんだろうか・・・そんな予感がした。
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