樹ぎつね

□夕立が運ぶもの
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ラジオ体操の掛け声が聞こえる。

小中学校の内はギリギリまで睡眠が取れたこの家も、ラジオ体操が強制でなくなった今、夏休みには最悪の立地となる。

んっーと伸びをして、携帯に手を伸ばす。

受信メール1件と表示されたフォルダを開くと、女子高生にしてはシンプルな文字が並んでいた。


もう寝てる?明日から急におばあちゃん家行くことなってさ
夏休み帰ってこれないかも…また宿題写させて


いつからか絵文字も使わなくなった、麻衣からのメールだった。


ごめん、寝てた。
何かあったの?


手早く返事を打つと送信する。

そして寝巻きのまま、一階に降りた。

友香は母、父、兄と4人で小さな一軒家に住んでいる。

だが、兄は京都に下宿しているし、父は東京に単身赴任で、実質いつも家にいるのは母と2人だった。
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