Howl's moving castel

□君を想う
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痛いほどに想う




「ソフィー!!」

それは日がゆっくりと山に隠れる夕暮れのことでありました。

動く城にハウルの叫び声が響き渡りました。


「ソフィー、また何かしたのかよ。」


火の悪魔カルシファーはニヤリと笑っています。

今では彼は自由の身なので、もう緑のネバネバからも何処までだって逃げられます。

ソフィーは考えてみましたが、ハウルが怒るようなことは思い当たりません。

第一、ハウルの声は怒っているものではなく、風邪の時にみんなを困らせる時に似ていました。

用があったら起きてくるでしょ。
私が行くことなんてないわ。とも思いましたが、一度呼んだだけでうんともすんとも言わないハウルに、ソフィーは心配になってきました。


ーどうしたのかしら。

一度気になり出すと、他のことに手がつきません。

ソフィーはホットミルクに蜂蜜をたっぷり入れたマグカップを手に二階へとのぼっていきました。



「ハウル?入るわよ?」

扉をノックしましたが、返事がありません。
そっと扉をあけると、ベットにはこんもり山が出来ています。

ベットの脇にカップを置き、ソフィーはその山に手を伸ばしました。


「ハウル、いったいどうしたの?」

次の瞬間には、山はハウルへと姿を変え、ソフィーにしがみついていました。

鼻をグスンとしているところをみれば、このどうしようもない魔法使いはどうやら泣いていたようです。


「夢を見たんだ。ソフィーがどこかに行っちゃう夢。どんなに探してもいないんだ。」

ハウルの腕は痛いくらいにソフィーを抱きしめています。

普段はヌルヌルとソフィーの知りたいことは何も答えてくれないのに、こういう時は子供みたい。
まったくほんとに馬鹿なハウル。


「ばかね。私がどこかに行くなんてことないわ。」

ソフィーはそっとハウルの腕から抜けると、ハウルの頬を両手で包みました。


「それに、ハウルが見つけられなくても、私がきっと見つけるわ。」

ソフィー婆さんではなくなったものの、ソフィーの魔法は健在です。

だから、ほら。とマグカップを両手に持たせました。

ハウルに出来ないことを、ソフィーがやってのけられるのでしょうか。

でもよくかんがえてみれば、今までもハウルが考えもつかない方法で、ソフィーは思うことをしてきたではありせんか。


甘いミルクは、ハウルの不安をゆっくりと拭い去ってゆきました。
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