Howl's moving castel

□君を想う
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夜空を見上げ想う




夕食も終え、寝るまでのひと時はゆっくりと時が流れていきます。

それでも城の住人は心穏やかではありませんでした。




それは昼のことでした。
王都に繋がる扉から、王からの呼び出しがかかったのです。

以前のように丁重にお断りしたのですが、ーそれも二時間もかけてー結局ハウルが折れる形となってしまいました。

「王室付き魔法使いなんて一人いれば十分なのに、あちらの人はもっともっとと欲望がきりがないんだから。」

ハウルを王室付きにしてしまったのは、ソフィが王様の説得に失敗したからです。

罪悪感で胸がちくりと痛みましたが、ハウルが浴室から鼻歌交じりで出てきた時には、そんな思いは飛んでいってしまいました。



だから、夕食の時間になっても帰ってこなくても、ーどこかで油でも売っているんでしょ。と気にしませんでした。

でも、今となってはどうでしょう。日が落ちるのが遅い夏だというのに、あたりはもう真っ暗です。

心が無かった昔と違って、ハウルはソフィーと一緒の時間を特に大切にしていました。

「ハウルさん、遅いですね。王様に何か無理難題を押し付けられたのかもしれない。」

課題のことで聞きたい事があったんだけど…とつぶやきながも、マイケルは魔法道具を片付けはじめました。





いつもは2人で使っているベッドは、1人で寝転ぶと広すぎるように思えてきます。

結局寝る時間になってもハウルは帰ってきませんでした。

『昔から、王都から呼び出された日は、帰りが遅い日もあったんです。だから、あまり心配しないでくださいね。』

そう、マイケルはソフィーに言いました。

それでも窓から見えるウェールズの空に、ソフィーは想いを託さずにいりませんでした。





ーハウルがいるべき場所に早く帰ってきますように。
と。
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