Howl's moving castel
□君を想う
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絶えずあなたを想う
雲がどんよりと空を覆っています。
花屋に並んでいる花も何となく元気がないように見えました。
というのも、この家を明るく照らすソフィーの姿がないからなのかもしれません。
はぁ。と一つ大きなため息が漏れました。
ちょっとレティの所に行ってくるから、店番お願いね。
そう言い残してソファーが出ていってから、もうどのくらいたったでしょうか。
お店のカウンターには絹糸のようなきれいな金色が広がっています。
伏せている顔からは何も表情は読み取れません。
ただ、ハウルの我慢はそろそろ限界で、次にあふれるのは緑のねばねばでもおかしくはありませんでした。
カランコロン
お店のドアが開き、マイケルが帰ってきました。
チェザーリと書かれた箱を持っています。
「あれ、ハウルさん。店番ですか?珍しいですね。」
いつものマイケルなら、剣呑な雰囲気を読み取ってすぐにお城へ戻っていたことでしょう。
それでも、久々にマーサに会ったマイケルは反応が遅れてしまったようです。
「マイケル、遅かったね。」
にこりと笑うハウルの目を見て、マイケルは縮み上がりました。
目が笑っていません。
「店番頼むよ。」
ハウルはガタンと立ち上がり、そういい残して出て行ってしまいました。
カランコロン
「…ぃってらっしゃい。」
後に残されたマイケルは、ただただ扉を見ていました。