蝶よ華よ

□第十五章 複雑な心境
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「リビング行った方がええ?」

「ううん、ここでいい」

「んじゃ、お邪魔します」


光晴はベッドに、陸は机の椅子にそれぞれ腰掛けて向かい合った。




「…………」

「…………」

「…………」

「…………光晴」

「ん?」


「昨日、神無ちゃんが私の部屋に来て……聞いたの。神無ちゃん、木籐が気になるんだって。――光晴、フラれたんだね」

「う゛っ……直球やな」



「……光晴、子ども欲しい?」



「へっ」

「欲しいよね。そのための花嫁だもん。――いくら麗二先生の診断って言っても、万が一……いや、億が一くらいの確率でミスするかもしれない。だったらやっぱり、子どもつくれる花嫁の方がいいよね」


俯いて、陸は光晴が返答する間もなく話し続けた。


「――正直、子どもは欲しい」

「……うん」

「でもそれは、誰の子でもええっちゅーわけやないんや。陸との子どもが出来るなら……今でも、それがいちばん望ましい」

「え」


俯いていた顔をぱっと上げる。


「当ったり前じゃ!今回のことは俺が悪かったて本気で思っとる!……だから、あんまり俺が薄情モンみたいに言うんはやめて欲しい。俺が陸のこと捨てたみたいできっついわ……」

「――違う、の?だって、神無ちゃんが好きだって……」


「違う!断じて違う!!神無ちゃんのことはそら……言い訳せんけど、これだけは言わせてもらう!――俺が一等好きなんは陸や!!」

「ッ……!」



(なんて言うドストレート……!)



大胆な告白を受けて、陸は思わず赤面する。




「もうないんやろうけど、陸も、神無ちゃんも、同じ花嫁にーってことも考え「いや!」


光晴の言葉を遮って、声を張り上げる。

 
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